第202回(9月1日)北村防衛副大臣答弁録(9)クラスター爆弾
Ⅰ=クラスター弾に関する参院外交防衛委の質疑

 6月9日の参院外交防衛委員会〈榛葉賀津也委員長〉はクラスター弾に関する条約の締結承認について質疑を展開、多忙な浜田靖一防衛相に代わって私が全答弁を引き受けた。クラスター爆弾は親爆弾にジュース缶大の子爆弾を数十~数百個詰めたもので、飛び散っても5~40%が大地に不発弾として残り、紛争後も「第2の地雷」として恐れられている。08年12月にノルウエーの首都オスロで、不発率が低い最新型を除いて全面禁止する条約の署名式があり、これまでに98カ国が署名した。これは「オスロ・プロセス」と呼ばれている。質問に立った自民党の佐藤正久氏は、ご存じ髭の、国連PKOイラク復興業務支援隊長。制服組の元1佐だけに装備には詳しい。佐世保はもとより全国基地の自衛隊員の参考になると思い、質疑応答を余り刈り込まず、詳報を載せることにした。

犬塚直史委員(民主党)

 クラスター弾の廃棄を何年掛けてやるつもりか。施行法案第18条の「自衛隊が行う条約で認められた目的のためのクラスター弾等の所持」とは何か。

北村副大臣 

クラスター弾に関する条約は、各締約国が、自国に対して効力を発生した後に、原則として8年以内に廃棄することが規定をされている。条約が発効した場合、8年以内に自衛隊が保有するクラスター弾の廃棄を安全かつ着実に実施する。一方、クラスター弾の廃棄方法は、検討すべき課題が多い。今年度より実施するクラスター弾の処分に係る調査等で検討するが、いまの時点で具体的な廃棄完了時期をいうのは困難だ。
佐藤正久委員〈自民党〉

 オスロ・プロセスで認められている範囲のクラスター弾はフランスやドイツが持っていることを私も承知している。安全保障上の観点から規制はあるものの、そういう配慮をした上でこういう形のものは必要だと、これが俗に言う代替手段の一つだと認識している。日本の場合、現在は、対着上陸戦等、敵の空挺攻撃、パラシュート部隊の攻撃等、離島防衛との関係からクラスター弾は必要だという形で防衛力を整備している。一番大事なことは、いかに敵の攻撃から日本国民を守るかということだ。悪いのは侵攻する敵であって、それをいかに有効な手段を使って排除するかが非常に大事だ。
 実際に第一線で敵の攻撃からいろいろ対処をする自衛隊員とか警察官、消防隊員、自治体の方々等々も第一線で国民を守るために頑張っているときに、今のままだと、周辺諸国はクラスター弾を持っているのに我々はそれを持っていない。向こうは散弾銃でこちらはピストルみたいな、そういう状態の中で代替手段を今、去年からの補正予算あるいは今年度の予算等でいろいろ整備をしているという状況だと思う。一番困るのは、安全保障体制に能力的に穴が空くという事態だ。それをしないような形で外交努力やあるいは防衛力という形で埋めていくということが非常に私は大事だと思う。特に、日本の場合は海岸線が非常に長くて、防衛副大臣の地元の長崎はまさに海岸線が入り組んでいて非常に複雑で、なおかつ離島も多い。非常に、西側でいうと第一線的な場所にある。専守防衛の範囲内で、攻めてくる敵から日本国民を守るという観点では、当然拠点破壊という分野と、ある程度の面の制圧機能はやっぱり必要だと思う。
 実際に、中国等の上陸用の舟艇はこの5年間で結構増えている。例えば、戦車が1度に20両載ったり兵員が8百名ほど乗るLPDを2008年に装備をしたり、戦車が10両載ったり兵員が250名乗るLSTもこの5年間で8隻増加をして27隻持っているとか、あるいは戦車が5両、兵員が百名乗るLSMはこの5年間で25隻増加をして今56隻持っている。あるいは兵員百名を輸送するLCMはこの5年間で20隻増えている。また、LCU、兵員150名程度のものはこの5年間で85隻増えて130隻持っているという静的なミリタリー・バランス上のデータもある。それも踏まえながら、いかに抑止力という観点からも我が国も適切な防衛力、外交力を持っていくことが大事であると思う。
 今お配りした資料は、クラスター弾代替のイメージとその影響だが、上の方で書いてあるのは、全部クラスター弾を用いて敵を撃破するパターンとして、敵部隊の後続部隊の輸送艦なり、あるいは海岸線に上陸する部隊であり、離島に侵攻する部隊、あるいは飛行場等を占領する敵の空挺部隊等々に対して、阻止する観点からクラスター弾というものも通常弾と併せて使うという発想だったと思う。下の方の資料は、着上陸侵攻を考えた場合、対海上あるいは水際、陸上という形でクラスター弾を用いて、緑の分野で能力を持っていた。あるいは離島とか重要施設、空港等の重要施設を守るという観点から制圧戦力としてクラスター弾を持っていた。クラスター弾がなくなった場合、一番大きく影響を受けるものとして、水際の対処能力あるいは離島とか空港等の制圧能力という部分が不足すると思う。今、代替手段であるM31、これは単弾頭のものだが、これを入れることによって水際対処能力あるいは拠点制圧能力という部分を、補正予算等を使いながらどんどん補てんしている。しかし、クラスター弾全部に対する代替能力という点ではまだまだだ。よって、フランスとかドイツ、日本で開発すれば別だが、そういう認められた範囲内でそれを導入して、安全保障上の体制上穴を空けないという発想も大事かなと思う。当然、その新弾については、今回のクラスター弾の条約で規制され、又は認められた範囲の新弾という意味だが、そういうものを使って、やはり離島とか飛行場に対する対応も必要ではないか。
 今後、防衛計画の大綱とか中期防衛力整備計画の中で冷静な議論を行っていく必要があると考えるが、防衛副大臣の所見を伺いたい。

北村副大臣 

 クラスター弾に関する条約が発効すると、自衛隊が保有するすべてのクラスター弾の使用が直ちに禁止されることから、我が省としては、このクラスター弾の機能を喫緊に一部補完するため、先ほど来お話もあった通り、レーザーJDAM及びM31ロケット弾の2種類を精密誘導型装備品として導入する。また、現有装備体系への適合性や機能の補完の効果、こういった観点から、これら2つの装備品の組合せによりクラスター弾の機能を一部補完することが可能とは考えている。しかし、欧州、ヨーロッパで導入されているようなセンサー付き子弾を内蔵するタイプの弾薬については、先ほど来のお説通り、本条約の対象外とされていることは承知しているが、そのような弾薬を導入する具体的な計画はない。他方、我が省としては、我が国の防衛に遺漏がないように期していくため、近年の戦闘様相の変化、また進展の著しい軍事科学技術の動向等を真剣に見守りつつ、中長期的な観点からも必要な装備体系などについて、防衛大綱の修正や次期中期防、この中期防衛力整備計画に係る議論を踏まえて引き続き真剣に検討していく方向である。

佐藤委員

 いかに敵の武力事態から国民の安全を守るかという部分が一番ポイントだ。安全保障上の観点、人道上の観点をうまく配慮をしながら御検討いただきたい。次に、米国のコンウェー海兵隊総司令官の上院の軍事委員会公聴会での発言について質問したい。今月4日のアメリカ上院の軍事委員会の公聴会で、海兵隊の総司令官のコンウェー大将が在沖海兵隊のグアム移転、普天間の代替飛行場等について修正すべきではないかという旨の発言があったと報道されている。この発言の骨子について外務省に伺いたい。

Ⅱ=敵基地攻撃能力、核武装論議に対する衆院外務委質疑

6月12日の衆院外務委員会(河野太郎委員長)は北朝鮮の第2回核実験に対し、自民党内に高まった敵基地攻撃能力の保有や核武装論議について、社民党の辻元清美氏ら野党委員が追及、私が答弁に立った。この問題を論議することは近隣諸国を刺激するため、浜田防衛相はもとより自衛隊幹部も検討作業では極めて慎重姿勢を保っている。そうした気持ちをにじませながら答弁した。

辻元清美委員(社民党)

 (核実験では)すべての7カ国が、対立せずに中国も含め、1つの方向に結束していくことが大事と考えていた。7カ国での共同作業がさらに大詰めを迎えることで、日本もしっかり結束を保っていくことを認識して頂きたい。日本も核保有をした方がいいとの議論を始めるべきだとか、敵基地攻撃能力を持つべきだという声も出ている。勇ましいことを言うのは簡単だが、国際交渉の場で日本がどういう役割を果たしていくかに対して、勇ましい議論は決してプラスにならないと私は考える。敵基地攻撃能力の議論が自民党の国防部会の小委員会でも提言され、年末の防衛計画の大綱に盛り込む提言をするような話を聞いた。そこで、敵基地攻撃能力とよく言われるが、具体的に、どういう装備を持って、どういうことをするか、まず防衛副大臣にお示しいただきたい。


北村副大臣 

 自民党国防部会防衛政策小委員会で議論を積み重ねて、内容が取りまとめられたと聞いている。敵基地攻撃以外にもさまざまな指摘事項が含まれていると承知している。防衛省は、かかる提言を真摯に研究、検討させて頂きながら、防衛省の考え方をしっかり作り上げることで、省内の検討作業をより充実、加速化していきたいと考えている。
辻元委員

 専門誌など、私も自分なりに勉強をした。相手国が出す地上からのレーダー波を感知して、それを妨害し、まず防空システムを破壊しなければいけない。これを破壊しても、またミサイルが上がってくるかもしれないので、それを避けて飛ぶステルスとかを準備しなければいけない。さらに、その上で敵基地攻撃できるミサイルなどを持たなければいけない。巡航ミサイル・トマホークと言われる。しかし、これは、湾岸戦争のときも、イラクのスカッドミサイルに対して数多くのトマホークを撃ったけれども、移動式のミサイルのために成果が上がっていない。さらに、これは北朝鮮対象にという議論が出てきているわけだが、ノドンが2百基、スカッドが6百基と言われていて、移動式の発射台だとも言われている。イラクのときもそうだったように、幾らトマホークを購入して対応しても、2百基、3百基あって、あっちこっちに移動してということで、机上の空論ではないかと。実際に中身を検討していくと実現不可能なことを言っているのではないか。
 さらに、衛星を使った情報収集をしないと、どうなるかわからない。これには膨大な予算と時間がかかると石破元防衛大臣も指摘している。周辺国も含めて、過剰に反応する国々も出てくるだろう。そうすると軍拡競争にもつながっていくのではないか。
 さらには、どのような条件が整えば撃ってくることが明白な事態と言えるのか、どういう経路で判断していくのかなど、勇ましいことを言うけれども、その中身を見ていくと、浜田大臣は、そういう敵基地攻撃能力の保有について、今の日本の現状で、イラク戦争などの経験から見て、物理的に、これを防衛省が取り上げて前向きに検討作業を始めるということにはならないと思うだろう。後で外務大臣にも聞くが、そういうことには膨大な時間とお金もかかる。アメリカなど時々やっているようだが、そんなに成果が上がっていない。時間やおかねを費やすよりも、外交努力が大事になってくる。
 そこで防衛副大臣にお聞きしたいが、浜田防衛大臣は、そういうものを直接年内の防衛計画大綱や中期防衛力整備計画で考えることになるかというのは極めて疑問だと、この間記者会見で言っている。そして単なる議論なら国民の感情をあおるだけになると。日本が攻撃能力を持てば、北朝鮮以上に大規模な軍備増強を進め不透明さに批判が集まる中国の軍拡を正当化するだけだ、と自衛隊幹部が言っているとの報道も私は承知している。
 自民党は自民党で、一つの党だから、自由におやりになっているんだと思うけれども、防衛省として、敵基地攻撃能力を持つための検討を省が進んでしていく、または検討を開始しなければならないと考えているのか、今は考えていないのか、まず副大臣に聞きたい。

北村副大臣

 いわゆる敵基地攻撃と憲法との関係について、政府は従来から、法理上の問題としては、他に手段がないと認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことも憲法が認める自衛の範囲に含まれるという考え方を示してきているけれども、防衛省は、従来、現実の自衛隊の装備体系のあり方としては、敵基地攻撃を目的とした装備体系の保有は考えていない旨を述べてきている。主な理由は、我が国に対して誘導弾等により攻撃が行われる場合に、他に全く支援を受ける手だてがないような事態は現実の問題としては起こりがたいこと、また、我が国は、日米安保体制のもと、日米間の適切な役割分担により我が国の平和と安全を期することとしているから、いわゆる敵基地攻撃をめぐる最近の議論にはさまざまなものがあることは承知している。敵基地攻撃を目的とする装備体系を我が国が保有するべきか否か、この問題については、政治的判断が大変重要だ。国会等の場においてさらに幅広い議論が行われることが重要であると認識している。
辻元委員 

 国会で自由に議論するのは結構だが防衛省としては今までどおりの方針なのか。4年前の大野大臣の答弁も持っているが、「敵基地攻撃能力を持つ意思は、意図は全くない」と承知しているので確認する。膨大なお金と時間を使って、感情論とか、そのときの激情に走って外交や安全保障を考えるべきではないと思うので、今の答弁、防衛省しっかり受けとめていただきたい。もう一点防衛省に確認した上で外務大臣に外交努力をお伺いしたい。今度、貨物検査を可能とするための国内法整備という話が出てきている。今の国連の制裁決議案の内容を見ると、公海上の場合は、旗国、まずその国の同意を求めるのが条件ということになっている。公海上での船舶検査については日本の場合は周辺事態認定の折のみとなっているけれども、防衛省はこういう新法を検討する考えがあるのか。
どこの国も非常に船舶検査は慎重だ。キューバ危機のときも船舶検査、いわゆる臨検と言われるが、そこから小競り合いになって大きな戦火を開いてしまう可能性があるので、どこの国も非常に慎重に取り扱っている。防衛省がリーダーシップをとって、そういう新法を準備しようと考えているのか。

北村副大臣

 現時点では北朝鮮の核実験に関する安保理決議案は採択に至っていないから、決議を受けた対応については具体的な答えは差し控える。いずれ、新たな決議が採択されれば、我が国としてしっかりと対応していくことが重要であり、防衛省も、関係省庁と緊密に協力をしながら、政府全体としての対応に遺漏がないように努めてまいる姿勢だ。