第201回(8月16日)北村防衛副大臣答弁録(8)海賊対処法案
6月の参院外交防衛委員会(榛葉賀津也委員長)は2,4の両日、衆院から送付された海賊対処法案を巡り入念な審議を行い、浜田靖一防衛相に代わって私が答弁に立つ機会が多くあった。その部分を以下の通り、速記録から抜粋した。

Ⅰ=6月2日の参院外交防衛委員会

犬塚直史委員(民主党)

 同じ長崎の北村防衛副大臣に伺いたい。東シナ海の対馬は釜山まで50キロしかない。そういう海域では海洋資源を周辺国がみんなで守っていくのが国際法益になる。しかし、一歩間違えると、向こうが取るからこっちが全部取るとか、小魚も含めて全部取ってしまえというような現場の議論になりがちだ。国内法、特にこの強行規範に基づく法律を今作ろうとしているわけだから、この目的のところは、国際益の部分を、漁師の皆さんにも分かりやすく強調すべきだと思うが、いかがか。

北村副大臣


 私の所管する防衛副大臣としての立場から述べれば、対馬と朝鮮半島、九州、東シナ海、そこら一体の海洋を構成する地域は、それぞれの各国の排他的経済水域の問題についても、日中韓それぞれの線引きもできていない。暫定的に日中の間でも中間線を考えて、漁業とか水産業といった立場の漁業協定というふうなもの、韓国と日本の間もやはり中間線を考えて、互いに利益を分け合い、譲り合いながら現実的に海の資源を、表層、中層、海底、その地下について建設的に協議をし、協定等を目指しながら、日中韓の主に3国で、平和の海、友好の海になることを目指して、関係各国の政府あるいは民間がいろんな協議を鋭意続けている、苦心惨たんしている状況があると認識している。非常に難しい問題ではあるが、前の世代から引き継いで、次の世代に問題を残したくないという気持ちで、いろんな難しい事柄に我が国政府も取り組んでいると認識している。
Ⅱ=6月4日の-参院外交防衛委員会

米長晴信委員(民主党)

 防衛省とのやり取りで、ある程度の期間なら2隻出しても大丈夫だけどその先は非常にあいまいな答弁だったと思う。2隻ずっと出っ放しということは、浜田大臣としては全く一点のすきもなく、日本の防衛は今までと同じで大丈夫と思われているのか。そうでなければ、今の体制がむしろ過剰だったのじゃないかという疑念もある。

北村副大臣

 現在、海上自衛隊は約50隻の護衛艦を保有している。アデン湾における海賊対処のために2隻の護衛艦を派遣しているが、これは、現在の我が国周辺の国際情勢を踏まえ、自衛隊の主たる任務である我が国防衛の体制を確保することを十分考慮した上で決定しており、派遣部隊の交代の時期も含め、我が国周辺の各種事態への対応と即応態勢は維持できていると考えている。一方、我が省においては、現在防衛力の在り方等について幅広い検討を行っており、この中で、海賊対処のための派遣を含む最近の自衛隊の国際活動の実績や国際平和協力活動の本来任務化等も踏まえつつ、将来の自衛隊のあるべき体制を明らかにしてまいりたいし、しっかりしたものをつくってまいりたいと考えている。

塚田一郎委員(自民党) 

この法案の成立後、現在の海上警備行動による対処と海賊対処法での新しい対処のオペレーションはどのように仕分けて行われるのか。つまり、海賊対処行為はすべて海賊対処法の新法でやるのか、海上警備行動で行われる場合等もあるのか。

北村副大臣 

 海賊対処法第7条第1項の規定により、防衛大臣は、海賊行為に対処するための特別の必要がある場合には、総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海賊行為に対処するための必要な行動を取ることを命ずることができる。この場合、自衛隊法82条の規定は適用しない旨が同条に規定されている。従って、海賊対処法の施行後は、現に海上警備行動により活動している部隊を除き、すべて新法の第7条の規定によって行う。
塚田委員

 そうすると、現在のオペレーション部隊は、今ソマリアに、アデン湾に行っている部隊については、本法案が成立し、効果を発揮した時点で、オペレーションの位置付けは、継続している海上警備行動のオペレーションがつながっているのか、それとも、そのときに海賊対処法によるオペレーションに切り替わるのか。そのどちらなのか。

北村副大臣

 今派遣している部隊は、海上警備行動の権限によって海賊行為に対処するということに習熟をさせた上で派遣している。新法施行の場合は、保護対象船舶の範囲や武器使用の権限が変更されることになるから、的確な対処を行うためには、新法に基づく権限による対処に十分な習熟をさせる必要がある。現在、海上警備行動によって任務に従事している部隊が同時に新法に基づく権限に習熟するための教育訓練を実施することは困難だから、新法が施行される際には、当初から新法に基づく権限について教育訓練を実施した部隊と交代させることが適当であると考えている。部隊交代の時期等については、これまでインド洋の補給支援活動で3~4か月程度、現地で活動を行った後交代をしたという例を参考にしつつ、交代することを考えている。
塚田委員

 新法施行の以降は、新しいオペレーション部隊を出して今の部隊と入れ替えるということだから、法律を早く何としても可決をして、一日も早く今の状況を変えていくべきだと思う。時期は具体的に、明確に言えないかもしれないが、海賊対処だけでなく、インド洋の補給活動等も含め、護衛艦、補給艦等がオペレーションを行っているわけで、場合によっては時期が重なってくるような状況もあろう。きちっと対応できているのか。

北村副大臣

 対処活動に派遣する部隊の規模は、現在、我が国周辺の国際情勢を踏まえ、国の防衛体制を確保することを十分考慮した上で決定している。派遣部隊の交代のときを含め、我が国周辺における各種事態への即応態勢は維持されていると認識しているし、これらの活動のために艦艇を派遣することで我が国の防衛任務に支障が生じることはない。