第199回(7月16日)北村防衛副大臣の答弁録(6)補佐官制度
 Ⅰ=防衛相補佐官設置法
「防衛相補佐官」の新設などを盛り込んだ防衛省設置法改正案は5月27日に成立したが、同法案が衆院を通過する4月28日、私は本会議直前の衆院安全保障委員会で答弁に立ち、最終質疑を受けた。改正案は、守屋武昌・前防衛事務次官による汚職事件など一連の不祥事を受け、政府の防衛省改革会議がまとめた案が骨格となった。防衛大臣を補佐する体制を強化する狙いから、形骸化している防衛参事官を廃止し、省内の幹部会に当たる防衛会議を最高審議機関として法的に位置づけるもので、政治任用の防衛相補佐官(3人以内)を非常勤で置くことが出来るようにしている。質疑では、①シビリアンコンとルールの観点から内局と制服組との連携は十分に取れるか②補佐官の守秘義務はどのように実効性が担保されるか――などが質されたが、自、民、公、国民新4党の賛成多数で可決された。

 平成21年4月28日(火)の衆院安全保障委員会(今津寛委員長)
山口壯委員(民主党) 我々の考えるシビリアンコントロールは、市民の代表は国会だから、国会が軍隊をコントロールする、こっちの方が大事だ。内局が各幕をというのは、我々にとっては、正直、シビリアンコントロールの意味とは違っていると思う。だから、そういうものはもう既になくしていいのじゃないかと思う。アメリカの国防省の話も出たが、結局、イラク戦争をやらせたのは、ダグラス・ファイスとか、副長官とかで入ってきたウォルフォウィッツというイスラエルに非常に造詣の深い人たちで、イスラエルから大分、いろいろ気を使った人たちだ。それで、結局、制服の人たちは怒ったわけだ。何でこんな無駄な戦争をやらせるんだ、文官は一体、戦争をわかっているのかということだ。だから、そういう意味で内局の制度というのは、今回の設置法ではいじられないけれども、やはり補佐官を置いただけでは、物事の本質は何にも変わらないどころか、ややこしい話だなと。でも、本質は、内局、各幕という制度を防衛省としてこれからどういうふうに考えていくかによって、大臣がきちっと補佐される制度をつくる方がむしろ本質だろうと思う。せっかくだから、副大臣もおられるから、今までずっとかかわってこられて、制服の方々との関係はどうですか。すっと副大臣のところにもいろいろな話は来ていますか。
北村副大臣 制服の方々には、私は不勉強ですからわからないことがたくさんあるので、逐次いろいろなことは教えて頂くし、必要に応じて連携はとれていると認識はしている。
山口委員 なかなか上の方にどこまで報告してどこまで整理してというのは、下の方ですごく気を使うところだけれども、こと防衛に関しては、生の情報がすとんと行った方がいい場合が多いと思う。実際にその防衛力を動かすかどうかの判断はまた別だろう。しかし、何が起こっているかをまずすっと来るようにしなければ、多分「あたご」みたいな話は消えない。内局をなくせばそれがすぐ出来るということでもないから、いろいろ議論をして頂いて、これからどういうふうによくなるか、よく考えてほしい。
神風英男委員(同党) 補佐官にも守秘義務が当然課せられることとなっているわけだが、特に非常勤、そういう場合に、その実効性というのがどういうふうに担保されるのか。
北村副大臣 防衛大臣補佐官にも自衛隊隊員に対して適用されるいわゆる守秘義務規定が準用されるし、その職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとされていることは当然だ。
いわゆる守秘義務規定の実効性を担保するには、簡潔に申し上げて次の二つのポイントがある。まず、防衛大臣が防衛に関する見識を有する者の中から適切な人材を選任することとしているけれども、その選任に際しては、秘密保全についてしかるべく配慮すること。二つ目に、防衛省・自衛隊が保有する極めて機微な秘密である特別防衛秘密及び防衛秘密に関する罰則規定の適用を受ける、これらで実効性が担保できるというふうに考えている。

神風委員 短い期間の任用ということになると、なかなかそういうのも現実問題として困難な面もあるのかなと思うが、ぜひそこら辺はしっかり対応していただきたい。防衛省改革会議の報告書を拝見すると、防衛省の司令塔機能強化の提言だけではなく、官邸の司令塔機能強化についても言及をされている。安全保障にかかわる総理の補佐体制ということについても充実強化する旨が提言をされているけれども、以前、安倍内閣のときに安全保障問題担当の総理補佐官というのが存在した。この現実に存在をしていた総理補佐官はどういう評価であったのか、その点を伺いたい。
北村副大臣 安倍内閣では、担当事項ごとに5人の内閣総理大臣補佐官が配置され、それぞれの内閣総理大臣補佐官が官邸の司令塔機能を強化し、政治のリーダーシップを確立するために尽力したと承知している。具体的な評価は防衛省として申し上げる立場にはない。

神風委員 答弁する立場にないかもしれないが、気になるのは、機動的に総理を補佐する安全保障政策に関して高度の知見を持つアドバイザーを置くという形で、官邸の機能強化について触れられているわけだ。そういう意味で、総理にもこうしたアドバイザー的な高度な専門知識を持った補佐官が安全保障関係についていく、防衛大臣に対してもそういう補佐官がこれから置かれる。そこら辺の連携というか、うまく機能するのかなというのが、今回のミサイルの発射事案の経緯を見ても、なかなか官邸と防衛省自体がぎくしゃくしているようなイメージを外から見ているとかなり受けるわけだが、そこらは問題がないのか。
松本剛明委員(同党) これを決めるときに、副大臣はどういう形で関与されたか。この法律案を事務方がいろいろ検討されて案が決まると思う。局長、官房長、事務次官で案を決め、大臣の決裁を得て与党の手続を経、閣議で閣議決定をされて、閣法として国会へ提出されると思うが、副大臣はいつ説明を受けて、いいとか悪いとか、どこかで言われたか。
北村副大臣 簡潔に申し上げると、個別に説明には来ていただき、説明を受けている。

松本委員 どの段階で説明を聞いたか。大臣の決裁を受ける前か、受ける後なのか。
北村副大臣 もちろん、決裁を受ける前に聞かせて頂かなければ、私の存在意義はない。

松本委員 この法案について大臣と議論されたことはあるか。
北村副大臣 大臣と直接議論をしたことはないが、私も、大臣が統括する防衛省の事務方、この防衛省としての意思決定は防衛大臣が行うわけだから、その手前の段階で、官房長、各局長、各幕僚長等々の補佐する者、その一員として私も加えていただいている。

松本委員 この法案も大変重要な法案だと思う。今回、防衛会議も、大臣、副大臣、政務官、そして文官の方々、制服の幹部の方々が一つになってきちっと会議をして防衛省の方針を決めていこうということだが、私が今も聞いたのは、せっかく、大臣、副大臣、政務官とおいでになるならば、やはり政治家が入って、この防衛会議の枠組みなんて非常にいいと思いますよ、それできちっと会議をして議論をして決める。ちゃんと議論もされたんだろうと思うが、法律案を出すというのは、政策決定としてはある意味では一番最終的な形なわけだから、これを決定するに当たって、やはりこういう防衛会議、これは訓令によるものが今回法律になるということだが、これに類する枠組みもしくは同様の枠組みがこれまでもあったというふうに承知をしているが、こうして頂かないといけないと思う。
照屋寛徳委員(社民党) 防衛省改革会議では、自衛隊の情報流出あるいは護衛艦「あたご」の衝突事故、守屋前事務次官の背信行為などの不祥事案が議論されている。ところが、護衛艦「さわぎり」、護衛艦「たちかぜ」、航空自衛隊浜松基地などにおいて、上官のいじめによって自殺に追い込まれた自衛官の事件は全く議論がなされていない。これでは真の組織改革にはならないと思うが、浜田大臣はどのように考えるか。
北村副大臣 防衛省改革会議は、発足の時点において国会等で大きく取り上げられていた文民統制の徹底あるいは厳格な情報保全体制の確立、そして防衛調達の透明性、これら3点について、限られた時間の中で早期に報告書をまとめるべく、集中して議論を行ったものだ。決して、自衛隊員の自殺問題を軽視して、議論を行わなかったということはない。自殺した隊員のことに関しては、従来から防衛大臣政務官を長とする防衛省自殺事故防止対策本部を設置して、事故防止を図るため、カウンセリング体制の整備、服務指導の徹底、隊員の心情把握等の措置を推進しているところだ。

照屋委員 浜田大臣、陸海空ともに自衛隊員の自殺者はふえている。きょう正確な数字は持っていないが、他の先進国における軍隊に比べても多い。真の組織改革を図っていくには、自殺問題や隊内におけるセクハラ問題とか、さまざまな事案も十分に検討して、背景や原因や対策についての議論が必要と思う。護衛艦「さわぎり」の自殺事件については、発生直後、私は当時、参議院議員として、また、提訴になってからは弁護士としてかかわってきた。護衛艦「さわぎり」事件の福岡高裁判決は、自衛隊内のいじめの存在を認め、違法なものと断罪した。そして、自衛隊における安全配慮義務の問題は、厳しい判決になっている。国側が上告しないで確定した。この判決を受けて海上自衛隊は御遺族に謝罪して、被害者の霊前に線香の一本でも立てるべきだと思う。夢と希望、抱負を持って自衛隊に入隊し、上官の執拗ないじめで命を絶たれたわけだ。しかも、被害者は子供が生まれた直後、誕生日に首をつって死んだ。私は大臣が焼香に行けとは言わないが、関係者がやはり行ってあげるべきではないだろうか。
北村副大臣 今般の判決においては、直属の上司の言葉について、いじめとの言及はない。すなわち、心理的負荷を過度に蓄積させるようなものであったというべきで、指導の域を超えるものとの評価であったと承知している。平成20年10月、また平成11年11月に護衛艦「さわぎり」艦内で自殺をした隊員の御遺族の方、御両親が防衛省においでになられた際に、人事教育局長から御遺族に対し、かけがえのない御子息を亡くされ、防衛省としても悲しみを共有しているとの気持ちをお伝えするとともに、防衛省・自衛隊を代表して、御子息がお亡くなりになったことについておわびを申し上げたところだ。

照屋委員 副大臣、言葉を返すようだが、心理的負荷の過度の負担、すなわちいじめなんですよ、教育を超えたものはね。そういうふうに余り弁解がましいことを言わない方がいいと私は思う。けさの地元紙によると、昨日午後2時35分ごろ、浦添市消防本部に米海兵隊から救急車の配備要請があったようだ。報道では昨日午後1時半ごろ、米軍牧港補給地区内の、国道58号線近くの倉庫から異臭のする液体が流れ出し、浦添消防に通報があったようだが、既に4、5日前から日本人従業員6人がのどの痛みや顔に湿疹が出るなどの体調不良を訴えている。一方で、在沖米海兵隊は救急車の出動要請をしながら、沖縄防衛局の立ち入りを拒否し、浦添市消防も現場建物に入るのを拒まれている。付近住民が強い不安を訴えているが、防衛省はどのような対応をとっているのか。米軍からはいかなる報告を受けているのか。日本人従業員の健康診断や被害補償はだれの責任でなされるのか。
Ⅱ=クラスター爆弾禁止法
「クラスター爆弾禁止法案」は7月10日の参院本会議で可決、成立した。クラスター(集束)爆弾は既に「クラスター爆弾禁止条約」の承認案が衆参両院で可決されており、条約締結に向けて国内法を整えたもの。クラスター爆弾は、内蔵されている多数の小型爆弾が空中で飛び散り、地上の敵を広範囲に攻撃する兵器。不発弾が後に爆発するなど深刻な被害が出ているため、同法案が衆院を通過する前の5月8日の衆院外務委員会で、クラスター弾の廃棄処分問題を中心に活発な質疑が展開され、私は答弁に立った。

平成21年5月8日(金)衆院外務委員会(河野太郎委員長)
篠原孝委員(民主党) 予算の多寡で言うわけじゃないが、(クラスター爆弾の)代替兵器の開発や何かに補正予算で60億円、本予算で6億円、廃棄処分に調査2億円と(言うが)、遅いんだ。条約発効はもっと先、発効してから8年以内だから、一たん決まったことはとっととやって下さい。いかに無駄な、ばかなことをしているか、兵器を買うのにどれだけかかったか、廃棄するのにどれだけかかったか、多分廃棄の方が金がかかると思うが、ちゃんと公表し国民の目の前にさらして、こんなばかなことをしているというのを見せて頂きたい。核兵器についても廃棄していくべきだと言っているわけだ。クラスター弾についてもう断を下したわけだ。率先垂範してとっととやるべきだと思う。これは日本の得意分野を生かせる。地雷の処理なんかも日本の技術がいろいろ生かされていると聞く。それと同じで、クラスター弾の廃棄処分についても、日本が一番効率的なやり方ができるんじゃないかと思う。発効後8年なんてなまくらなことを言わないで、さっさとやって頂きたい。
北村副大臣  政府としては、クラスター弾に関する条約の締結を進めるに当たり、安全保障上の観点からは、我が国に対する武力攻撃等の事態に際して国際法規を遵守しつつなし得る限りの対処をすべきということから、条約の発効までの間にクラスター弾の廃棄を行うことにより万やむを得ずクラスター弾を使用する可能性を完全に排除することは適切でないと考えている。他方、政府は、この条約が、クラスター弾がもたらす人道上の懸念への対応に向けた国際的な協力を促進するという見地から有意義であると当然考えている。
かかる観点から、防衛省としては、我が国による条約の批准後はクラスター弾の使用は極力慎むべきと考えている。

篠原委員 核兵器について何で日本が立派なことを言えるかというと、何も持っていないからだ。クラスター弾についても、もう身ぎれいにしてしまって、そして、アメリカやロシアや中国に何やっているんだと言っていけばいいんだ。そのためにも、外交上の強いスタンスをつくるためにも、条約発効前に廃棄するのは出来ませんなんてなまくらなことを言わないで、これは絶対、とっとと進めてほしい。次に、これまたアメリカ軍が関係してくる。前回、12月10日に伊藤副大臣にお答え頂いたけれども、日本が条約に加盟する、アメリカは例によってわがままで入らない、米軍側はどうするかという問題になってくる。
地雷のときにも問題になったようだが、日本の自衛隊なり日本の民間企業が米軍から要請を受けてどこかへクラスター弾を運ぶというと、日本国が保有することになるからだめだという。こんなへ理屈の法律理論をしたってしようがない。日本はもうやめて身ぎれいになってきているのに、日本を守ってくれているのかどうか知らないが、日本国内に来ている米軍のはほったらかしにしておくのはやはりよくないんじゃないかと思う。核抑止論はわかる。しかし、核はないからアメリカに頼る。アメリカのクラスターになんか頼る必要はないんです。クラスター弾抑止論というのは聞いたことがない。だから、アメリカには、クラスター弾については日本がちゃんと持ってやっているので、日本が代替兵器も開発するんだから要らない、在日米軍はちゃんと日本国のルールを守ってくれと、先ほどの裁判権の云々と同じで、そう言ってしかるべきだと私は思う。
辻元清美委員(社民党) 二条二項で例外とされたクラスター爆弾のことが書かれているが、二条の二項で示されているような例外とされた爆弾を新規購入する予定はあるか。
北村副大臣 御指摘のクラスター弾に関する条約第二条第二項の(c)の五つの例外規定にのっとった兵器というものがある。ヨーロッパで導入されているような、センサーつきの子弾を内蔵するタイプのクラスター弾が想定をされているが、現時点では、そのような装備品を導入する具体的な計画はない。
辻元委員 現時点と言わずに、未来にわたって、やはり日本は軍縮のリーダーシップをとるという意味で、今の答弁を守って頂きたいと考えているので、確認をさせて頂いた。もう一つ、先ほどから在日米軍との関係が議論されている。そこで、アメリカに対する働きかけをどうしていくかということは、今後、他の中国、ロシアもそうだけれども、一つの軸になるかと思う。今回の軍事の協力という項目、先ほどから議題になっているが、その中に、米軍が日本国内で保有するクラスター弾の輸送について、自衛隊や民間が協力できるというような解釈になっていると聞いているんだが、そういう解釈なのか。
北村副大臣 クラスター弾に関する条約第21条の3及び4においては、締約国は、みずからクラスター弾を使用、貯蔵、移譲しないことなどの一定の……(辻元委員「簡単に。輸送だけの答えで結構です」と呼ぶ)一定の条件を満たす限り、非締約国との間で軍事的な協力及び軍事行動を行うことができる旨規定されている。このため、本条約のもとでは、自衛隊が米軍のクラスター弾を運搬することなど、米軍との間で軍事的な協力または軍事行動を行うことは可能である。