第198回(7月1日)北村防衛副大臣答弁集(5)
海賊対処法が19日に成立、浜田靖一防衛相は「海賊対処行動」を発令。活動期間や部隊編成を定めた「対処要項」を作成し、2次隊は7月下旬に現地で新法に基づいた活動を始める。新法で護衛対象は「日本関係船舶」から、外国船を含む全ての船舶に拡大され、海賊罪の新設により海賊目的で船舶に接近したり、凶器を準備して航行する海賊を逮捕したり、停戦命令に応じない場合の船体射撃も可能になる。4月下旬の参院外交防衛委審議では北朝鮮の脅威や、「沖縄米海兵隊グアム移転協定案」の承認について質疑が行われた。
4月23日の参院外交防衛委員会=北朝鮮核実験問題

山本一太委員(自民) 2006年に北朝鮮からミサイルが発射され、その後、核実験に踏み切った。そのときも与党内、政府内で、北朝鮮の脅威が一段レベルアップしたんだから、それに見合う抑止力を考えなければいけないとの議論が巻き起こった。策源地攻撃能力を保有すべきではないかと、いわゆる日米同盟の盾と矛の関係で見直すべきじゃないかというのが出たし、日本独自で偵察衛星とかアーリーウオーニングの仕組みを持たなきゃいけないというのも出た。当時の2プラス2でライス国務長官から、いざというときにはフルレンジサポートという言葉だったと思うが、あらゆる手段を講じて日米同盟の義務を履行するという確認まで取ったわけなんだが。そこで、防衛副大臣にも聞きたいと思うが、今回も抑止力を高めるため、ミサイル防衛システムを強化していくという選択肢は当然一つの可能性として考えなければいけないと思う。今のSM3じゃなくて一段階世代の進んだ新しいSMS、この新しい迎撃ミサイルの性能について、説明してほしい。

北村副大臣 平成18年度から日米共同開発に着手している次世代型の迎撃ミサイルについて、現在システム設計の段階だ。個別的、具体的な状況を踏まえる必要があるため、どのような対応ができるか、答えることは困難。この共同開発は現在配備中の迎撃ミサイルと比較すると、現存の弾道ミサイル脅威に対しては、現在イージス艦二隻で防護しているところを一隻で防護できる。また防護範囲の拡大や撃破能力を向上させるという意図を持つものであり、近い将来出現が予想される脅威への対処能力の確保も目的としている。

山本委員 聞くところでは、現在のSM3、これは13・5インチのロケットモーターだか、21インチ型にうまく改良すると、この間、北朝鮮がテポドン2号の改良型を日本の上空を通過させて太平洋まで飛ばしたわけだが、かなり高度が上がった弾道ミサイルもこの21インチだと撃ち落とせると。すなわち、追いかけていって今までのSM3では届かなかったところまでこの新型の迎撃弾道ミサイルは追いかけていって追い付いて、ミッドコースでもこれを破壊できるというふうに伺っているけれども、それで間違いないか。

島尻安伊子委員(同党) 再編実施のための日米のロードマップの中に、「普天間飛行場代替施設への移転、普天間飛行場の返還及びグアムへの第三海兵機動展開部隊要員の移転に続いて、沖縄に残る施設・区域が統合され、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となる」という記述がある。これがいわゆるパッケージであると思うけれども、沖縄県としては、普天間基地の返還、つまり危険除去ということと、広大な土地の返還が実現するわけだ。ここに来るまでには長い道のりを経てきたわけだ。多くの関係者が苦心惨たんして、やっと何かしら見えてきたという状況と私は認識している。この施設の統合と土地の返還に関して、ロードマップの中で、日米の双方は、そのための計画について、2007年3月までに詳細な計画を作成しなければならないと書かれているわけだが、もうこの計画が作成されたのかどうか。

北村副大臣 平成18年5月のロードマップにおいて、嘉手納飛行場以南に所在するキャンプ桑江ほか6施設については、普天間飛行場代替施設への移転、普天間飛行場の返還及びグアムへの第三海兵機動展開部隊要員の移転に続き、沖縄に残る施設・区域が統合され、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となるとされている。その統合のための詳細な計画は、平成19年3月までに作成するとされている。他方、沖縄に残す機能、能力あるいは移転先等に関しグアム移転等に係る具体的な計画検討の状況を踏まえて、さらに日米間で調整をしていく必要がある。現在、統合のための詳細な計画は完成していない。
いずれにしても、沖縄県の人口の約80%が県の中南部に集中している。沖縄の経済活動の基盤として利用度も高いことから、沖縄の負担軽減を図るため、嘉手納飛行場以南の土地の返還の実現に向け、引き続きアメリカ側と協議を続けてまいる。

島尻委員 その計画はまだ作成されていないということだ。なぜ遅れているか、見通しは。
この点は土地の返還が懸かってきているわけで、返還後の跡地利用は大変に機微にかかわるというか、重要なポイントだと思うので、引き続きよろしくお願いしたい。米軍基地問題は本当に一筋縄ではいかない。米軍との駆け引きもあろうし、連立複次方程式のように、難しい問題だと認識している。時には見守ることも必要かと思うが、政府は県民の機微というかセンシティブにならざるを得ないことを十分理解し、誠意ある対応をお願いしたい。

北村副大臣 今局長も答弁いたしましたように、地元の皆様方の考え方を酌み止めながら、随時説明できるところはきちんと説明の準備をし、できるだけ早く御理解頂けるような十分な説明の努力を、アメリカと協議を重ね、事業の精査を続けながら、一方、目標の年月を過ぎているので、そのことは十分胸に刻みながら仕事を進めたいと思っている。

島尻委員 先日の21日、移転先の、代替施設の地元である名護市議、市職員に対しての環境影響評価の準備書の説明会が行われたと聞いている。今後、名護市内3か所での説明会も開かれるということで、その場でも様々な意見等発言があるだろうと思う。政府の関係者はしっかりと汗をかいて頂きたい。続いて、JBIC(国際協力銀行)による出融資について質問する。政府は、今回のロードマップで米海兵隊のグアム移転後の家族住宅及びインフラ整備を民活事業として行うとしている。しかし、再編特措法が成立して既に2年がたっているが、まだその具体的な事業スキームが示されていない。今回の審議の中で家族住宅が豪華過ぎるとか、広過ぎるとか、高過ぎるといった抽象的な批判が国会内でも上がっている。今回のロードマップの合意の肝として、私は我が国が民活事業を将来回収可能な出融資で措置することによって、可能な限り我が国の負担を軽減するところにあると固く信じている。住宅が豪華だ、高いといった議論は、国民感情としては十分に理解するけれども、我が国が提供する出融資をきちんと回収可能なものにすべく、合理的な民活事業のスキームを組めるかどうかが極めて重要なポイントだ。政府は詳細について検討中だと思うが、民活事業のスキームの検討内容について、可能な限り詳細に説明を頂きたい。

北村副大臣 在沖縄米海兵隊のグアム移転に係る家族住宅及びインフラは、アメリカ側が支払う家賃や使用料により、将来的に資金回収は可能であるから、民活事業により整備をすることは御質問の通りである。その資金は、出資や融資等によって措置する。具体的には、在沖米海兵隊のグアムへの移転を促進するために必要な家族住宅やインフラ、すなわち電力、上下水道及び廃棄物の処理などを指すインフラだが、その整備及び管理に関する事業について、民間の事業主体であるSPEが日本政策金融公庫を通じた出資や融資等を活用して実施する。これらの民活事業は、SPEを選定するための具体的な手続や日米両政府の関与の在り方について、現在も日米間で引き続き協議している。防衛省は日米間協議を含め、ロードマップで合意をした2014年の移転完了に向け、引き続き努力をする。

島尻委員 家族住宅を民活事業で行う以上、SPE(事業主体)が提供する住宅というものは、グアムに移転する海兵隊員にとってむしろ魅力的なものとなる必要があると思う。そういった感覚なしに設計して、入居者がいない事態になっては、本来の意義であるSPEのビジネスというのは私は成功しないと思う。政府はどのような観点を重視して家族住宅の質を決定するつもりか。今回の民活事業というアイデアは大変に画期的なものだと思っている。このスキームを着実に実行に移すことがグアム移転成功のかぎだと思う。政府は出融資を回収可能とするためにどのような決意で民活事業の検討を行っていくつもりか。

北村副大臣 家族住宅やインフラに係る民活事業に関する経費は、ロードマップ合意時において、応分の負担は行いつつも、日本側負担に係る我が国の財政支出はできる限り少なくするとの考えの下で、日米間で協議した結果、直接的な財政支出ではなく、米軍人が支払う家賃や米軍が支払うインフラの使用料などによって回収される出資や融資などによるとした。この日本側が分担する民活事業については、現在もその具体的な事業あるいは在り方等について日米間で引き続き協議をしているし、日本の分担に係る出融資等が償還されるよう、防衛省はしかるべく精査を行った上、所要の経費の予算要求を行い、国会での御審議を賜りたいと考えている。

山口那津男委員(公明党) 従来の地方財政計画に基づき地方交付税が措置されるような自治体で、交付税ではなかなかできなかったような施策を生かしているとか、あるいは不交付団体にも行くので、独自の施策をやるとか、いろいろ知恵を出し合っているようだ。
こうした交付金はこれからのモデルの先駆となるもので、例えば平成20年度予算の二次補正の中で6千億の地域活性化交付金を措置し、来週提出を予定している新たな補正予算においても各種の交付金を予定しているところだ。この再編交付金と似たような使い方もできる部分があって、その地域の振興あるいは福祉の向上等に大いに役立てる、それらの活用例をお互いに情報を交換しながら、今後行われる施策が有効に進展するように御配慮頂きたいと思う。今回、北朝鮮がミサイル発射を行った。この発射により、アメリカ合衆国の領土あるいは領域で射程内に入るのは具体的にどういうところが出てくるのか。

北村副大臣 今般の北朝鮮のミサイル発射事案については、引き続き総合的、専門的、着実な分析をしているところだが、一層の時間を要することになっている。北朝鮮はこれまで弾道ミサイルの開発を着実に進めてきており、開発中のテポドン2は射程約6千キロメートルと見られている。この場合、アメリカのアラスカの一部やグアムが射程に入るものと考えられる。北朝鮮が今般の発射により長射程のミサイル開発のために必要な多段階推進装置の分離に関する技術、姿勢制御、推力制御、これらに関する技術等を検証できた場合には北朝鮮の弾道ミサイル開発は急速に進展する可能性があると申さなければならない。

山口委員 今御指摘のようにアリューシャン列島の一部とかグアム島も射程内に入ってくる可能性があるということだ。ここが射程内に入ってくると、この再編後の拠点となるグアム島移転事業に何らかの影響が及んでくるのかどうか。あるいはアジア太平洋地域を中心とする米軍再編の全体に何らかの影響を及ぼしていくのかどうか。

白眞勲委員(民主党) 北朝鮮のミサイル発射について、日本海に沈んでいる一段目の落下物の回収の検討状況はどうなっているか。政府全体で検討している進捗状況はどうか。

北村副大臣 総合的、専門的な分析を行っているが、御指摘の落下物は、現段階では落下地点が特定されず、回収の技術的困難性などについて見通しができない状況である。また、海上に落ちた落下物は、一般にその回収が困難であることもあり、回収作業の法的性格をめぐる確立した国際法上の解釈もない。実際の回収では、法的側面も考慮する必要がある。
いずれにせよ、御指摘の落下物の回収については、今後、法的側面も含め、構造の解析等を行うことの有用性、費用対効果等も勘案し、政府全体として判断すべきものと考える。
防衛省は、内閣官房を始めとする関係府省と連携しつつ所要の検討を進めてまいりたい。

白眞委員 この前の答弁だと、いわゆるEEZ内に入っているものは拾うことに法的な問題はないという回答であるにもかかわらず、いまだに法的側面については検討中という。いつまで検討するのか。もう二週間以上たっている。
4月24日の参院決算委員会=自衛隊派遣費用

山内徳信委員(社民党)日本は非常に重大な事件、事故とか、あるいは国家的な戦争があっても全く総括、反省をしない国だ。自衛隊派遣とかあるいは後方支援だとか、その他いろんなことを行ってきたが、イラク戦争に要した経費の総額をお示し頂きたい。

北村副大臣 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の活動に関し、平成15年度から20年度に至るまでの間措置した予算の総額は、約969億円である。ODAについては、2003年10月にマドリッドで開催されたイラク復興支援会議で、当面の支援として15億ドルの無償資金協力、中期的な復興ニーズに対する支援として最大35億ドルの円借款、計50億ドルの支援を表明したところだ。これまでに無償資金・技術協力は約16・9億ドルの支出済みで、有償資金協力については12案件、24・5億ドル分に関する交換公文を署名済みだ。さらに、約60億ドルの債務救済支援を実施した。