第197回(6月16日)北村防衛副大臣答弁集(4)海賊・核実験
「沖縄米海兵隊グアム移転協定」の承認に次いで、参院で審議中の海賊対処法も6月22日前後には成立、今国会の外交・防衛に関する懸案はすべて決着する。衆院海賊・テロ対策特別委(深谷隆司委員長)では、ソマリア海の海賊取り締まり現況などについて活発な質疑が展開された。社民党の照屋寛徳氏が4月15日の委員会冒頭、海賊対処法案に反対意見を要約して述べたように、野党の反対姿勢は一貫している。以下はその詳報である。

4月15日の衆院海賊・テロ対策特別委員会=海賊行為対処法案審議

照屋寛徳委員(社民党) 結論から先に言うと、自衛隊法82条の海上警備行動にも海賊対処法案にも反対だ。海警行動は憲法のみならず自衛隊法3条にも明確に違反する。海上の治安確保は海上保安庁の任務で、海自の任務ではない。海賊対処法案は憲法9条に違反し、集団的自衛権の行使に道を開く。保護の対象船舶に限定がないこと、ソマリア沖海賊対策を理由に提出しておきながら、地域や期間の限定のない一般法・恒久法であること、海賊行為の定義が極めて曖昧であること、海賊行為を生み出す社会的原因の解決のための国際協力、日本の非軍人による平和的貢献策がないこと――などの問題を多く含んでいる。4月4日、海上警備行動中の護衛艦「さざなみ」がシンガポール船籍のタンカーから救助を求められた事案について防衛省に事実関係を詳細に尋ねたい。

北村防衛副大臣 日本時間で4月4日2時40分頃、護衛中の「さざなみ」の南約7キロに位置するシンガポール船籍タンカーのオーシャン・アンバーから小型船舶が接近しているとの通報を受けた。「さざなみ」は2時50分頃、サーチライトを照射し指向性大音響発生装置で呼びかけると2時59分頃、小型船舶が停止したことを確認。対応を終了した。

照屋委員 マスコミ報道だとはしけの後ろに3隻の小型船を繋いで航行していたそうだが。

北村副大臣 報告によれば、小型ボート3隻を曳航していたという。

照屋委員 4月11日、同じく海上警備行動中の護衛艦「さみだれ」がマルタ船籍の商船から救助を求められた事実について詳細に聞きたい。

北村副大臣 日本時間4月11日15時8分頃、アデン湾西方に待機していた護衛艦に対し、マルタ船籍のパナマックス・アンナ号から、小型船舶が接近しているとの通報を受信し、護衛艦「さみだれ」が現場に向かい、15時30分頃、指向性大音響発生装置で呼びかけ、艦載ヘリを発艦させ、同16時15分頃帰艦させた。本件では小型船舶が停止していたこと、商戦との距離が離れていたことから、16時40分過ぎ、対応を終了した。

照屋委員 国際海事局の発表だと4月2日にもマルタ船籍の商船が不審船に狙われている。

4月22日の衆院海賊・テロ対策特別委員会=海賊行為対処法案審議

長島昭久委員(民主党) さっき、岩崎海上保安庁長官が海賊は見分けがつかないと言った。4月の4,11,18の3日、なぜか海賊は毎週土曜日に出没しているが、その3件とも海上警備行動を行っている護衛艦は、もちろん立入検査なんかの権限がなくできない。3件が何だったか、相手がどういう船だったかの見分けはついているのか。

北村副大臣 結論を簡潔に言うと、3件の対応をした護衛艦はそれぞれの小型船舶を確認してはいるが、海賊船かどうかの確認は取れていない。

長島委員 そうすると、警告し、サーチライトを当てても、さらにつきまとう行為を続ける場合は、立ち入る検査に及ぶ。だが、その結果、非常に疑わしい外観だったが、実は単なる漁船であったことが判明する事態があり得ると、認識してよいのか。

保坂展人委員(社民党) 海自の強力な砲弾が海賊船に当たって、一部破損どころか、木っ端みじんに壊れて沈没、死傷者が出た場合に――米国が既にそうなっているけれども――自衛隊の武器使用で被害が出たということで、日本の船舶がかえって狙われないか。

北村副大臣 海警行動による自衛隊の海賊対処は、護衛艦による我が国関係船舶の護衛や、護衛艦、哨戒機による哨戒活動を実施することにより、海賊行為の抑止や海賊を退散させるのが基本的考えだ。万が一、武器を使用せざるを得ない場合は、自衛隊法第93条の規定により準用する警察官職務執行法第7条に基づき、事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することになっている。ただし、正当防衛または緊急避難に該当する場合等を除いては人に危害を与えてはならないことになっているので、いずれにしても、自衛隊の武器使用は法令に従い適切に行うと承知して頂きたい。

浜田靖一防衛相 我々の武器の強さ、船の構造(の堅牢さ)にしても、いざという時の準備というか(実戦での)対応からそうなっている。ご懸念のような場合、ぶつかって粉々になってなくなってしまった、それに対して海賊が逆恨みして我々の方に向かってくるのじゃないか――というのがご質問だったと思う。今、副大臣が言ったように、我々は出来るだけそういうことがないように、逆に言うと、追い払いながら、我々が牽制している間に早く船舶を行かせるような、まずそこの任務が一番先になる。出来るだけ、当然それ(武力行使)はないとは言えないが、ないように今後ともやっていきたいと思っている。