第193回(4月16日)在沖海兵隊移転協定を承認 外務委で答弁
 「沖縄駐留米海兵隊のグアム移転に関する協定」批准承認案は14日、衆院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、参院に送付された。
 参院が30日以内に議決しなければ、予算と同様、憲法の衆院優先規定で自然成立し、承認される。
 米海兵隊は沖縄に駐留する米軍人約2万3千人のうち約1万3千人を占めている。2006年5月の在日米軍再編を巡る日米合意で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市移設を条件に、14年までに在沖海兵隊員のうち8千人と家族9千人のグアム移転が盛り込まれた。
 その際、司令部庁舎や隊舎などの整備費に日本側は28億ドル(約2800億円)を上限に財政支出することに合意、2月に来日したクリントン米国務長官と中曽根弘文外相との間で協定に調印した。3日から10日にかけて衆院外務委員会で行われた審議で野党は、①日本は国会で協定を批准承認するのに、米国は連邦議会の承認が要らない行政協定のままなのは問題だ②8千人という削減人員には根拠がない③沖縄に残留する海兵隊は何人か不明④財政負担と融資分のすみ分けはどうなっているか――など日米間で異なる協定の扱い、財政負担の積算根拠、普天間飛行場移設の進行状況を巡って質疑を展開した。
 衆院外務委は外務省所管であるため中曽根外相がメインの答弁だが、防衛省は副大臣の私が具体的内容について答弁を担当した。参考までに3日の同委での防衛省に係る質疑応答を抜粋してみた。

鉢呂吉雄委員(民主党) 今年計上の364億円、グアム移転の予算計上は、必ずしも当初の政府答弁とは違った形の支出になっている。例えば、平成19年3月20日の久間防衛相の参院答弁では、日本側の経費負担は、在沖縄米海兵隊のグアム移転の司令部庁舎とか、教場、海兵隊の隊舎、学校など生活関連施設だ。従って資金回収できる米兵の住宅等については融資にするという答弁をしており、防衛省のロードマップ(工程表)締結時の説明、それを図式化したものでも、日本の真水の部分は司令部庁舎、教場、隊舎、学校等の生活関連施設としてしか明示されていない。インフラ、電気、上下水道、これらの基盤設備は融資なのだという表示の仕方だった。この通りか。

北村防衛副大臣 在沖米海兵隊のグアムへの移転に関する経費の総額は約102億7千万ドル。このうち、日本側の分担額は約60億9千万ドル。その中で、いわゆる真水・財政支出で整理するのは海兵隊の司令部庁舎、教場、隊舎及び学校等生活関連施設を前提として上限28億ドル、この範囲内で負担することであり、家族住宅の整備については民活事業等を導入して約4億2千万ドル程度の効率化が見込まれるということなので、約21億3千万ドルとされている。その中で、出資で約15億ドル、融資などで約6億3千万ドルを措置するということであり、さらに、電力や上下水道などのインフラ整備等については、融資などで約7億4千万ドルを措置するというものだ。

篠原孝委員(同党) 沖縄海兵隊のグアム移転は、米軍再編の優先順位からすれば、下の下じゃないか。2014年までに移転を完了させる気があるなら、国会(米連邦議会)の承認も要らない行政協定のままではなく、日本のように堂々と協定にすべきではないか。
中曽根外相 日米両政府は2006年5月に、ロードマップにおいて在沖海兵隊のグアム移転を2014年までに実現する合意をし、その後、首脳を含む様々なレベルで確認し、クリントン国務長官訪日の際にも、グアム協定に私との間で署名した。
篠原委員 朝日新聞は2月16日、「米海空軍施設にも充当」として、今年の予算の内の202億円が海兵隊の移転以外に使われると批判している。我々の税金を超大国アメリカの軍需施設の移転に出すのはおかしいという議論があった。限定して使うべきだ。

北村副大臣 平成21年度の政府予算に計上した在沖米海兵隊のグアム移転に係る真水事業の経費については、アンダーセン空軍基地とアプラ海軍基地の基盤整備事業も含まれているが、これら地区には、在沖米海兵隊の航空運用や港湾運用の機能が必要で、在沖海兵隊も移転する予定だ。従って、21年度に計上した予算はあくまで、在沖米海兵隊の移転に伴う所要の増大による。さらに、ロードマップでは、日本側の直接的な財政支出、いわゆる真水について、第3海兵機動展開部隊のグアムへの移転のための施設及びインフラ整備のためというふうに明記されているから、防衛省としては、あくまで日米合意、ロードマップに従って負担を行うということだ。

武正公一委員(同党) 2008会計年度ドルでの28億ドルに比べて、それ以降、物価が上昇した場合は、これを上限といいながら、28億ドルを上回ることはあり得るか。

北村副大臣 将来の物価水準を具体的に予測するのは困難で、特定の物価水準を前提に議論することは必ずしも適切ではないと考えるが、敢えて答えるなら、将来、米国の物価水準が上昇すれば名目価格での日本側の負担は増加し、下落すれば減少すると考えている。

武正委員 つまり、上限といいながら、28億ドルを上回る可能性があるということだ。ブラインド部分の、例えば、米軍試算の想定電力需要量と計算式、米側の上水道整備試算など日本側の負担部分に係る基本的数値を開示していただきたい。副大臣に、いかがか。

北村副大臣 委員長初め理事会の指示に従って、審議に協力することにやぶさかでない。

武正委員 利子に関して第4条、第7条に色々書かれているが、7条4項Bの「日本国が提供した資金から生じた利子」、すなわち、28億ドルから生じた利子を家族住宅に関して使うことが出来る、というふうに読み込めるのかどうか。

北村副大臣 日米協議の結果、米国財務省勘定の内で日本政府が提供した真水資金から生じた利子は、全事業の契約完了の後、原則として日本政府に返還されることで日米共通の理解が得られている。日米間で署名した真水事業の実施に係る協定でもその旨を7条4に規定している。一方、事業執行プロセスにおける資金不足などの事態に柔軟に対応するために、日本側の同意を条件として、当該利子を使用することを可能としている。なお、米国側が使用した利子については、当然、日本政府の真水拠出額28億ドルを上限とする、これの内数として算入される必要があると考えており、この点も本協定に規定されている。