北村の政治活動

 (平成13年9月16日) 曲がり角のテーマパーク 佐世保の総合観光開発

 秋の行楽シーズンを前に、千葉県浦安市に東京ディズニーランド(TDL)の弟分、東京ディズニーシー(TDS)が9月4日開業した。3月に関西で開業したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と同様、年間来場者数は8百−1千万人を見込んでいる。これら東西の巨大テーマパークは、人口の多い大都市圏の立地条件を生かし、日帰り客やアジアなどからの国際観光客を目当てに大量動員を目論んでいる。宮崎県のシーガイアが倒産するなど、経営不振に見舞われている地方のテーマパークにとっては強敵の出現だ。

 カジノ解禁求める

 政府内には行き詰まった大型リゾート開発を見直す動きもあるが、地方自治体の中では起死回生策としてカジノ解禁を求める声が強まっている。長崎県佐世保市のハウステンボスも、来場者数は96年度の425万人をピークに4年連続で減少し、2000年度は376万人に落ち込んだ。今回は地元政治活動の一環として、観光の側面を取り上げたい。

 TDSは2年後黒字

 浦安市の巨大埋立地に開業した東京ディズニーシーは、隣接の兄貴分TDLと合わせて年間2500万人の集客を見込んでいる。TDSの投資額は3380億円だが、2年後には単独黒字になり、5−6年後には累積損失を一掃する計画。83年オープンのTDLが昨年度の年間来場者数1730万人とテーマパークとしては世界最高の集客力を誇っていることから、2500万人集客には自信を持っているからだ。USJも年間目標は800万人で、8月末までの来場者は毎月100万人程度と、こちらも好調。ディズニーは米本土同様、親しまれたミッキーマウスのキャラクターが売り物だが、USJはハリウッド映画の古くなったスタディオ器材を持ち込み、2次利用で荒稼ぎをしている。いずれもたくましい商魂だ。

 地方パークは集客激減

 これに対し、地方のテーマパークは、「レジャー白書」によると市場規模は前年比2・3%減の4730億円で4年連続減少するなど、景気低迷と競争激化で集客減が続いている。昨年の九州・沖縄サミットで外相会議の舞台となったシーガイアは、経営主体のフェニックスリゾート社が2月に倒産。第三セクターとして過去最高の2762億円の負債、関連2社を含めた負債総額は3261億円に達した。米大手投資会社のリップルウッド・ホールディングスの手で再建を目指しているが、同社は従業員2500人の一時解雇を決めるなど、事業改革は容易ではない。三重県の「志摩スペイン村」も客足が急速に衰えている。

 リゾート法施行見直し

 リゾート施設を運営する全国の第三セクターは半数以上が経営赤字。「総合保養地域整備法」(リゾート法)の施行から14年経つが、同法で承認された42構想の約9000施設のうち、建設にこぎつけたのは4分の1で凍結状態にある施設が約5000もある。このため、国土交通省は6月末、「総合保養地域整備基本構想の総点検の実施について」と題する通達を出し、収益の見込めない施設建設を取りやめるなど、全面的な見直しを指示した。同省は「リゾート開発の主役はあくまで都道府県で国はサポート役」と割り切っているが、バブル期に同法で2階に押し上げておいて崩壊後に梯子をはずすようでは地方もたまらない。

 カジノで30兆円

 こうした中で秋田県雄和町が「イーストベガス」構想を打ち上げるなど、カジノを解禁して米国のラスベガスのようなカジノ賭博場を開設する要望が全国で高まっている。石原慎太郎都知事はこのほど「東京港区のお台場でカジノを解禁し、1兆円の収益を上げたい」と日本競馬会並みの公益法人作りを提唱した。観光客など日本からの出国者は年間1780万人もいるのに外国からの入国者は430万人に過ぎない。カジノはロシアにもあり、先進国で禁止しているのは日本だけ。賭博禁止で魅力に欠けるから観光客が少ない、というのが石原知事らの言い分。

 暴力団の新資金源

 日本カジノ学会は「日本全国に120ヶ所のカジノ場を建設すれば、30兆円規模のサービス産業となり、30万人の雇用を創設、7・6兆円の税収が期待できる」と試算している。確かにパチンコが大流行するほどギャンブル好きな日本人だ。現在競馬、競輪、競艇などに限られている公営賭博を国際的なカジノ賭博に拡大すれば、リゾート施設の客足は増えるかも知れない。しかし、ラスベガスのように一家そろって健全にギャンブルを楽しむ欧米人と違って、日本人は一攫千金を夢見てのめり込み、賭博に失敗して借金苦で失業したり、一家離散、挙句に自殺者が多発することも予想される。離職者が増えるとしたら逆効果だ。暴力団の新たな資金源にもなりかねないし、青少年の育成にも悪影響となろう。

 家族で長期滞在

 やはりテーマパークは、地域の特性と歴史を生かし、施設のハコモノを充実させるだけでなく、カップルやファミリーが低料金で楽しく過ごせることが最大の魅力だ。ロサンゼルスのディズニーランドを拡大した米国南部のオーランドにあるディズニーワールドは、東京JR山手線の内側に匹敵する広大な敷地にテーマ館が林立、その周りを同心円でゴルフ場保有のホテルが取り囲んでいる。父親はゴルフ、妻子は乗り物自由の1週間通用パスを持ち、家族ぐるみで長期バケーションを楽しんでいる。全米からの交通アクセスもよく、長期滞在で何度も出入り自由の割安料金が国内外の観光客を引き付けているようだ。

 北京五輪の客誘致

 9月19日は「九十九島の日」だが、南の松島がどれほどの知名度を得ているだろうか。佐世保市は日本の西に開いた歴史的な玄関口である。NHKの大河ドラマではないが、博多で元寇と勇猛果敢に戦ったのは長崎の松浦党だ。800年後の今世紀、2008年には北京で五輪が開催される。今度は平和の祭典に照準を合わせ、五輪往復の平和の使者(世界観光客)を佐世保に誘致してはどうか。それには、最短距離にある北京―長崎間の航空路開設、ハウステンボスの施設改善などが望まれる。出島の歴史にあやかるならオランダイメージの巨大風車も建設して電力を自給、新名所としたり、入館料の割引も再検討すべきだろう。

 大戦モニュメントも

 長崎は浦上の原爆被災地、佐世保の軍港・造船所跡地など第二次大戦の爪痕も多い。反戦平和や軍国主義復活などのイデオロギーにはとらわれず、大戦を風化させないためにも数々の大戦時モニュメントを集めた陳列館を建設することも一考ではないか。それに、風光明媚な九十九島などの周遊コース、海産グルメを抱き合わせた観光ルートの整備。今こそ国内、国際の観光客が家族ぐるみで長崎の旅を楽しめる総合的な観光開発が必要だろう。