第179回(9月16日)宇宙開発委員長に就任 官民一体化で推進
 政府は8月27日、先の通常国会で成立した宇宙基本法が施行されたのに伴い、宇宙開発戦略本部を設置した。首相を本部長に全閣僚が参加し、宇宙行政一元化のため、内閣府に「宇宙局」を設置する。同本部は来春をメドに宇宙開発・利用の基本方針や実施する政策などを盛り込んだ宇宙基本計画をまとめる。計画では最先端の技術研究を安全保障や宇宙産業の活性化、国際競争力の強化につなげる総合施策を策定する方針。本部経費として、来年度予算には約1億2千3百万円を計上した。宇宙基本法はこれまで非軍事分野に限定されてきた宇宙利用を防衛目的にも解禁、軍事利用と産業振興に役立てるのが大きな柱だ。このため、防衛省は衛星活用の統合防空システム研究などの調査費11億円を概算要求、防衛副大臣の私をトップとする宇宙開発利用推進委員会を設置、より高性能な偵察衛星への活用など基本方針を策定する。この成果は2010年度からの次期中期防衛力整備計画(中期防)に反映させる。政局多難な中での作業、是非とも協力ご支援をお願いしたい。

予算47%増だが欧米に劣る
宇宙基本法は、安全保障問題で与野党が対立した「ねじれ国会」の中で、自民、民主、公明3党が共同で提出、成立させた初めてのケース。宇宙開発戦略本部を宇宙政策の司令塔として、有識者の専門調査会を設置し、①宇宙基本計画の作成②宇宙活動に関する法制整備③宇宙開発利用に係る行政組織の在り方――などを検討する。基本理念は「ユーザーニーズを踏まえた研究開発から利用までの一体的な施策の推進」だ。縦割り行政の弊害をなくすことを念頭に、内閣官房、内閣府、文科、経産、総務、外務、警察、国交、農水、環境、防衛など各省庁と民間が一体となって宇宙産業の活性化や国際競争力の強化に取り組むことが目標。21年度概算要求に占める政府全体の宇宙関係予算は4085億8千万円(前年度3159億6千4百万円)で47%増だが、日本の宇宙関連予算規模は米国の14分の1,欧州の半分で「官需」も小さいため「宇宙分野での日本の競争力は世界で7位、新興国の中国やインド、カナダにも及ばない」(米調査会社発表)と言われている。

高度画像処理の偵察衛星導入
確かに欧米、ロシアだけでなく新興国も宇宙利用に本腰を入れている。中国は宇宙開発を国家戦略の機軸に据え、05年は単独で有人船の地球周回に成功、独自の全地球測位システムを進行させ、昨年は10機のロケットを打ち上げた。インドも3機保有し日本の2機を上回っている。今後はアフリカなど途上国からの衛星打ち上げの受注を巡る国際競争も激化しよう。アジア地域では気象衛星や情報通信を活用して災害監視のネットワークを作る計画がある。日本も宇宙基本法の成立で「非軍事」から、ミサイル防衛のための早期警戒衛星の保持などを可能にする「非侵略」へ宇宙開発を転換、新たな安全保障に取り組めることになった。日本の安保防衛に宇宙の有効活用は当然のことだ。今後は高度な画像処理能力を持つ偵察衛星の導入なども検討していきたい。防衛省の21年度宇宙関係予算は、飛来するミサイルを宇宙で探知・追尾するレーダー(EPS-5)整備の弾道ミサイル防衛(BMD)と、イージス艦用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発に490億円、スーパーバード衛星通信の利用に119億円、宇宙開発利用の総合的調査研究に11億円など、計621億5千5百万円(前年度422億8千9百万円)を概算要求している。