北村の政治活動

 (平成13年9月1日) ドイツの環境政策を視察 原発や廃棄物処理

 21世紀は環境の世紀。地球を汚す産業廃棄物をどう処理するか。事故が多発する原発
にどう取り組むか。公害をもたらす化石燃料の代替エネルギーをどう開発するか。有限の地球資源はますます枯渇し、二酸化炭素(CO2)による温暖化現象は地球の環境を一段と破壊している。当選1回の我々自民党若手は9月2日から8日まで、環境政策の先進国であるドイツを訪問、ドイツ連邦の経済技術省と環境省を訪ね意見を交換するほか、ベルリン近郊のリサイクル施設などを視察する。「地球に優しい環境政策は何か」を探る旅だ。

 脱原子力で合意

 ドイツは98年9月の総選挙で社民党が勝利、脱原子力を党是とする「緑の党」と連立政権を樹立した。このため、シュレーダー社民党政権は昨年6月、電力業界との間で、原子力発電所の平均運転期間を基本的に運転開始から約32年間とする、などの原子力政策で合意、一年後のさる6月に両者は正式署名した。連邦政府は現在、この合意事項を具体化するため、原子力法改正案を連邦議会に提出する準備を進めている。

 電力業界は反発

 ドイツの原発は19基あり、発電能力は2100万キロワット(日本は51基4350万キロワット)で、総発電量に占める比率は30%(日本34%)とエネルギーに占める原発の割合は日本と同様に高い。にもかかわらず、脱原発、省エネに踏み切ったのは、隣接国から電力の購入が容易なことや、天然ガス供給に依存出来るエネルギー事情があるからだ。しかし、電力業界は当然に反発、合意の過程では政府の「運転開始から30年」の当初案に対し「35年以上」を主張、ようやく32年で折り合いをつけるなど抵抗した。

 新エネルギー開発

 野党のキリスト教民主・社会同盟は電力業界を支援、来年秋に予定される次回総選挙で政権を奪回した場合は、先の合意を撤回すると宣言している。それだけに、ドイツ政府は再生可能なエネルギーとして太陽、風力、小水力、廃棄物ガス、バイオガスなど新エネルギーや代替エネルギーの開発に全力を挙げている。また、核燃料再処理のため、使用済み核燃料をコアレーベン岩塩層に一時閉じ込める中間貯蔵施設を建設するなど、安全なバックエンドの対策を進めている。

 天然ガス輸入に依存

 ドイツはEU一番の石炭産出・消費国で、世界一の褐炭産出・消費国。73年の石油危機以降、政府は石炭への再転換策を図り、石炭が国内エネルギー生産量の50%を占めるよう石炭産業を補助してきた。その一方、天然ガスも生産するドイツは、98年でも1次エネルギー総供給の4・6%を生産しているほか、ロシア、オランダ、ノルウエーからの天然ガス輸入を増加するなど依存度を高め、石炭から天然ガスへとエネルギー源を転換している。これらの点は、衆院石炭対策特別委員会に属する私にとっては興味深いところだ。

 循環経済・廃棄物法

 ドイツは廃棄物処理・リサイクル政策にも力を注いでいる。94年10月に「循環経済・廃棄物法」が成立、96年10月に施行された。同法は天然資源保護のため、循環経済システムを推進し、環境に適した廃棄物処理を行うのが目的。内容は、原則として廃棄物の排出者が処理・リサイクルの責任を負うが、製造者の義務として、リサイクルしやすい製品の開発、製品に含まれる有害物質の表示に加え、容器包装、自動車、バッテリーについてメーカー、流通・販売業者が廃棄物処理・リサイクルの責任を負うことが政令で定められている。

 無料で廃車引き取り

 97年5月に制定された自動車のリサイクル政令では、メーカー、販売業者は販売網と同じ規模で廃車回収施設を設置し、最終ユーザーから無料で廃車を引き取り、技術的に可能な限り再利用するよう義務付けられている。98年3月に制定の電池リサイクル政令では、製造業者、販売業者が水銀、カドミウム、鉛を含む使用済みの電池・蓄電池を最終消費者から無料で引き取り、リサイクルに回す義務を負っている。

 フォルクスワーゲンなど視察

 我々視察団は、容器包装政令を踏まえて設置された非営利法人のデュアルシステム・ドイッチュランド社(DSD)のSORTECリサイクル分別システム(ベルリン近郊のハノファー)を見学するほか、フォルクスワーゲン社(VW)、富士通ジーメンス社のリサイクル工場などを視察する。連邦政府は我々が訪問中の9月4日、エネルギー全般に関する「エネルギー報告書」を公表する予定だが、わが国にとっても大いに参考になりそうだ。

 ボン会合の経過も聞く

 ボンでは連邦環境省を訪問する。7月にボンで開かれた気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)では、米国が修正協議に応じなかったため、京都議定書の発効が危ぶまれているが、同省訪問では地球温暖化のボン会合の経過も詳しく聞くことになりそうだ。
視察団は帰国後、環境政策のあるべき姿を徹底的に討議し、衆院厚生労働委などの論議に反映する考えである。


 自民党のドイツ・リサイクル政策視察団(9月2日―8日)の概要は次の通り
{メンバー}
一行の世話役は梶山弘志議員。メンバーは北村誠吾、高木毅、谷本龍哉、西川京子、平井卓也、増原義剛、松野博一、森岡正宏、山本明彦、吉野正芳(五十音順)の11人。
{主な日程}
9月2日(日)13・30成田発(NH209)18・30フランクフルト着・乗り換え 
21・20ベルリン着 アドロンホテル泊
3日(月)午前 ドイツ連邦経済技術省訪問 正午 野村駐独大使のブリーフと懇談   午後 エネルギー政策担当のフォルカー・ユング連邦議員と会談 バスでハノファー着
4日(火)10・00ハノファーのSORテクノロジー・リサイクル施設見学 
午後 フォルクスワーゲン(VW)リサイクルセンター視察 バスでゴアレーベン近郊へ移動 ルートウイッヒスラスト・ホテル泊
5日(水)9・00ゴアレーベン使用済核燃料中間貯蔵施設と最終処分予定地視察 バスでバダーボルンへ移動(3時間半)21・00バダーボルンホテル着・泊
6日(木)午前 富士通シーメンス社リサイクル工場視察 バスでエッセンへ(2時間)午後 エッセンのAGR社(一般廃棄物)視察 バスでボンへ(1時間)ボン・ホテル泊
7日(金)10・00ドイツ連邦環境省訪問 午後 ボン駐在官事務所の国方公使と会談
17・00バスでフランクフルト国際空港へ(2時間)20・30同空港発(NH210)
8日(土)14・35成田着