第169回(4月16日)クロマグロ規制強化 1CCAT東京開催
 高級魚クロマグロの資源管理を行う国際機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)は3月26日から2日間、各国の漁業者や蓄養業者、輸入業者など約150人を東京の三田共用会議所に集め、大西洋クロマグロ資源の持続的利用について協議した結果、漁獲枠順守の規制を強化する共同声明を採択し閉幕した。共同声明は、@ICCATで採択したすべての保存管理措置、クロマグロ回復計画に完全に従うA回復計画で削減された総漁獲可能量の漁業規制レベルに合致するよう自国の漁獲・蓄養・運搬能力、漁獲努力量、輸入を慎重に管理するB08年から導入された漁獲・流通の各段階で政府から確認を受ける「漁獲証明制度」(CDS)を円滑に実施するC年次会合の漁獲規制見直しでは最新の資源評価に基づいた科学者の勧告に従う――など7項目をうたっている。1CCATが管轄する東大西洋・地中海では2000年頃から、クロマグロの資源状況が急速に悪化しており、1CCATで合意された漁獲枠を守らない国・地域が続出しているため、今年の本格的な漁期を前に、規制を守ることを確認する目的で東京会合は開かれた。1昨年1月末には神戸でマグロ地域漁業管理5機関会議、東京で1CCATの中間会合が開催されている。

回転寿司やスーパーは蓄養物
 1CCAT(事務局=スペイン・マドリッド、44カ国とEUが加盟)は06年の年次会合で、06年の漁獲枠の2割を07〜10年に段階的に減らすことを決めたが、リビアが異議を申し立てたほか、07年に欧州連合(EU)が漁獲枠を4440トン超過していることが判明し、1CCATの取り組みは1年目から躓いていた。議長役の宮原正典水産庁沿岸沖合課長は「クロマグロの資源状況への理解が高まり、保存措置の順守が促されることを強く希望する」と参加者に呼びかけ会議はスタートを切った。今年はカジキマグロが沖縄周辺の渡嘉敷列島付近で大漁だが、高級魚のクロマグロは資源が枯渇していて、卵から育てて個体数を増やす養殖と違い、小型魚も含めて一網打尽に捕らえ、生け簀で育てる「蓄養」が盛んだ。日本で消費するクロマグロ4・4万トン(06年)のうち、日本漁船の水揚げはわずか1・3万トンで6割近くの2・3万トンを東大西洋・地中海からの輸入が占めている。1昨年末以来の平均価格は天然ものの国産の1キロ5129円に対し、蓄養など輸入ものは2973円と4割も安く、スーパーや回転寿司店にも出回っている。

毎年千トン削減でマグロ高騰
 ICCATは、06年11月26日にクロアチアで開いた年次会合で東部大西洋・地中海産クロマグロの総漁獲量枠を07年から10年までの4年間の複数年資源管理措置として、現在の3万2000トンを段階的に2万5500トンまで約20%削減することに合意した。総漁獲可能量(TAC)の漁獲規制によると、TACは06年の32000トン(うち日本2830トン)をピークに、07年29500トン(同2515トン)、08年28500トン(同2430トン)、09年27500トン(同2345トン)、と毎年漸減、最終年の10年には25500トン(同2174トン)――と2割削減し、総漁獲量は初年度2千5百トン、年平均1千トンの削減幅となった。禁漁期は07年から、地中海と東部大西洋の一部(西経10度以東、北緯42度以南)で延縄が6月1日〜12月31日、巻き網が7月1日〜12月31日までと決められた。さらに、体重30キロ未満の小型魚の捕獲・保持、水揚げが禁止された。このように厳格な漁獲規制と世界的な寿司ブームによるマグロ需要の増大が影響して、東京都中央卸売市場では冷凍クロマグロの07年の平均卸売価格は前年比16・9%も上昇し、キロ当たり約3600円に急上昇した。

持続的資源利用の声相次ぐ
 1CCATの科学委員会は、漁獲枠を超えた違法な漁獲があり、クロマグロの生息状況は危機的状況にあることから、漁獲枠を現在の半分程度の1万5000トンが適当としている。東京の会合にはEC、フランス、クロアチア、トルコ、リビア、モロッコ、米国、カナダ、韓国など13カ国・地域から利害関係者が参加した。読売新聞によると、「漁獲はコントロールされるべきだ」(マルタ)、「このままでは、5年、10年後に日本人はマグロを食べられなくなる。漁獲量は現在より減らすべきだ」(トルコ)、「資源の枯渇を防ぐには、生産者と消費者が努力をする必要がある」(WWF=世界自然保護基金)など持続的な資源利用を求める声が相次ぎ出されたという。WWFは既に、欧州でクロマグロ購入のボイコット運動を展開、ICCATが規制を実行できない場合、絶滅の恐れのある動植物の取引を規制するワシントン条約の対象にクロマグロを加えるよう働きかけることも検討しているという。1CCATは11月の開く今年の年次会合で、最新の資源状況をもとに漁獲規制の見直しを行う予定だ。

蓄養より養殖技術で資源確保
 1年前にもHPで取り上げたが、日本近海のクロマグロの稚魚(ヨコワ=30〜40センチ大)をトローリングで生け捕りにして育てる養殖事業が脚光を浴びている。稚魚が捕れるのは我が長崎県の五島福江島、壱岐・対馬周辺や高知、紀伊半島沖。養殖の最大産地は、温暖な鹿児島県の奄美大島の入り組んだ湾だ。目下、卵からふ化する研究が大学などで進んでいるが、これが軌道に乗ればすばらしい。資源確保と地域振興のためにマグロの養殖事業は発展させなければならない。私は自民党の前水産部会長として、低迷・不安定化する魚価、止まらない漁業用燃油の高騰。これらの安定供給策と水産物の自給率向上、沿岸漁業と沖合漁業の調整、枯渇傾向にある資源実態に合った遠洋漁業の操業形態、流通構造の改革――などと積極的に取り組みたいと考えている。