第164回:佐世保基地の役割増大 「おうみ」艦が出航
 越年国会で新テロ対策特別措置法が成立したのを受けて、政府は1月16日の臨時閣議で、給油活動の基本方針や派遣部隊の規模などを定めた実施計画を決定した。インド洋に派遣されるのは佐世保基地所属の補給艦「おうみ」と横須賀基地所属の護衛官「むらさめ」の2隻で25日に出航、2月中旬から給油活動を再開する。
 実施計画の部隊規模は500人以内だが、当面300人が6月末まで派遣される。同法は民主党が一貫して審議引き延ばしと採決の先送りをしたため、旧特措法の期限切れ失効で2カ月余り海自補給艦の撤収を余儀なくされ、日本はテロとの闘いから離脱したとして著しく国際信用を失墜していた。
 派遣された海自隊員の皆さんは信用回復に努めて頂くことになるが、インド洋上は体感気温45度、不快指数100%と言われる過酷な作業。皆さんのご労苦に敬意を表するとともに、呉々も健康に留意され職務を全うされるよう祈念したい。昨年末、米ハワイ沖で弾道ミサイル実験に成功したイージス艦「こんごう」も我が佐世保基地に実戦配備された。我が国の安全保障に貢献する佐世保の役割は益々重大になって来た。皆様と共に喜びたい。

石破防衛相、佐世保基地を視察
 新テロ特措法は@ペルシャ湾を含むインド洋などの非戦闘地域で活動A自衛隊の活動は、海上阻止活動に従事する各国艦船への給油・給水に限定B実施計画の決定・変更、活動終了時には国会報告C期限は施行から1年。1年以内の延長可能――を骨子とし、15日に公布・施行された。派遣準備は通常3週間かかるが、石破茂防衛相は統合幕僚長らに準備を急がしたうえ、海自の香田洋二自衛艦隊司令官に17日、部隊の派遣命令を出した。
 また、部隊派遣に先駆け、バーレーンの多国籍海軍司令部に連絡官2人を派遣した。石破氏は20日に佐世保基地を訪れ、出航直前の「おうみ」(13500トン、後藤大輔艦長ら約140人乗り組み)を視察。艦上では「アフガニスタンから麻薬や武器が流出し、テロリストが逃亡するようであれば、世界でテロの危険は除去されない。我が国は石油資源の9割を中東に頼っており、諸官の活動は国民生活や国益を守り、国際社会での日本の責任を果たすものだ」と訓示、吉川栄治海幕長や乗組員との夕食会に出席した。

6年間で50キロ無償提供
 石破防衛相は記者団の質問に対し、「後からチェックしなければ証明できないことが、今後起きないよう事前に文書で確認する形を作った。それをきちんと行うことで、懸念が生じないよう万全を尽くしたい」と答え、新テロ特措法案審議の際に問題になった給油した油がイラク作戦などに流用されないような措置をとったことを明らかにした。
 首相も22日、首相官邸に海自インド洋派遣部隊の佐伯精司一等海佐らを招き、激励した。旧テロ特措法に基づいた給油活動は、2001年12月からの約6年間で11カ国の艦船へ計794回、計約49万キロリットルの燃料を無償で提供した。新テロ特措法に基づく給油活動もインド洋で海上阻止活動に従事している米英仏パキスタンなど6カ国の艦船が対象となる。海自の給油に頼っていたパキスタン艦船は自国の港に戻って給油するケースが増えたため、「活動効率が4割低下した」と嘆いていたが、その悩みが解消されることになる。

「こんごう」が実射訓練成功
 弾道ミサイル防衛(BMD)の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載した海自のイージス艦「こんごう」は、昨年12月17日正午すぎ(日本時間18日早朝)、米ハワイ沖で初の実射訓練を行い、標的のミサイルを大気圏外で迎撃するのに成功した。
 米国以外の国がSM3の実射実験を行ったのは初めてで、地対空ミサイルとイージス艦による日本のBMDは新たな段階に入った。実験は、米軍が現地時間の17日午後0時5分、標的となる模擬弾道ミサイルを発射。その4分後、カウアイ島沖の「こんごう」がSM3を発射し、0時12分、上空100キロ以上の大気圏外で命中させた。
 日本のBMDは、まずSM3を搭載したイージス艦で敵のミサイル迎撃を目指し、撃ち漏らした場合は、地上に配備した地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)で再攻撃する仕組みだ。
 海上幕僚幹部の河野克俊防衛部長は「これで、上層と下層という多層で弾道ミサイルに対処する態勢が出来た。日本の防衛の結節点だ」と実験の意義を強調している。

上下多層の迎撃態勢固まる
防衛省は2010年度末までに、既に佐世保基地に配備されたSM3搭載のイージス艦を計4隻配備する一方、首都圏や中京・京浜地区など計16箇所でPAC3の配備を進める。1月には新宿御苑を選んで配備実験を行った。整備には1兆円を超す費用がかかる見通しだが、SM3とPAC3による上下多層の迎撃ミサイル態勢で、北朝鮮などからのミサイル攻撃はひとまず抑止できることになる。