第158回(11月1日)安保委でトップ質問 航泊日誌破棄を質す
 新テロ対策特措法案の本格審議に先立ち、私が理事を務める衆院安全保障委員会は10月19日、石破茂防衛相、高村正彦外相の出席を求め、海上自衛隊から米艦船に供給された燃料のイラク戦争転用疑惑などについて質問した。トップバッターに立った私は@海自の給油活動がテロの海上阻止活動にどのような貢献をしているかA支援を中断した場合、国際社会に与える影響と反応はどうか――などを質すとともに、補給艦が保存すべき航泊日誌を破棄したケースを取り上げ、「インド洋上で働く海自の命懸けの活動は訓練ではなく『作戦活動』だ。書類の管理体制、責任の所在を、国民に誠意を持って説明すべきだ」と追及。そのうえで、NHKの世論調査を見ても賛否のほかに熟慮中の国民が多いことから、「庶民感情にぴったり来る広報活動をすべきだ」と指摘した。これに対し、石破防衛相は「アフガニスタンはアヘンの9割を生産するテロの温床地域。武器、麻薬、資金の出入りを何としても阻止しなければならない。石油資源の9割を頼る我が国にとって、あの海域の安全はまさに国益につながる」とし、給油活動の必要性を強調した。

哨戒活動の実効性損なわれる
 また、「湾岸戦争では130億ドルも支援したが、全く評価されなかった」と述べ、当時の海部政権下で自民党幹事長を務めた小沢一郎氏の采配が裏目に出たことを暗に批判した。さらに、「海自は正確で高い補給能力を持っており、日本が抜けたら哨戒活動の実効性が損なわれる」と述べて新法成立の重要性を訴えた。航海記録の破棄については、近々国会に詳しく報告すると確約した。高村外相も「インド洋を通るタンカーは日本が一番多い。一番利益を受けている国は日本で、給油を中断すれば短期的にも中長期的にも失う国益は大きい」と答えた。ワシントンで18日に発表された米声明は、「すべての米艦船はOEF(アフガンの『不朽の自由作戦』)を支援するために給油を受けた」とイラク転用を否定しながらも、「海自からの燃料をほかの燃料と分けて、別のタンクに貯蔵してはいない」として、燃料の追跡調査は困難であることを示唆している。民主党議員はこの点を取り上げ、「我々が指摘した疑念は晴れていない」と追及した。これに対し、石破防衛相は「米国とは交換公文で(OEF)以外の用途には使わないことを確認している。補給時には受領証も受け取っている」と反論。高村外相も「交換公文にテロ対策特措法に基づく補給であると明記され、各国にもしっかり説明している」などの点を強調、イラク転用疑惑を否定した。新テロ対策特措法案の審議は26日から衆院テロ対策特別委に移っている。
19日の安保委員会で私が関連した質疑概要は次の通り。

安保委員会 質疑概要
北 村 
 01年に米国を襲った9・11テロの後、国連安保理の第1368号決議を踏まえ、我が国は直ちにテロ対策特措法を成立させた。この法に基づいて海上自衛隊はインド洋に展開し、OEF・不朽の自由作戦に必要な海上での阻止活動を支援するため、艦船の給油を主とする協力支援活動を開始している。現在までに48万キロリットルもの燃料が供給され、関係各国から非常に高い評価を得ている。先日採択された国連安保理決議1776号は、国際社会の評価とその継続への高い期待の表れであると思う。日本が支援するOEF、海上阻止活動はテロリストの海路移動を阻止するだけでなく、テロリストの疑いのある要員を拘束したり、大量の武器、麻薬、携帯用対戦車ロケットなどを押収する実績と成果を上げている。こうした事情を考えると、インド洋での協力活動は是非とも継続させていくことが大変必要だと私は存じている。そこで最初に尋ねたいのは、日本の給油活動はOEF、海上阻止活動にどのような貢献、寄与をしているのか。国際社会が取り組むテロとの戦い全体で大きな役割を果たしていると思うが、日本の支援が中断された場合、海上阻止活動にどんな影響が及ぶか。防衛、外務両大臣に伺いたい。

石破防衛相 
 ご指摘があったとおり、アフガニスタンはアヘンの9割を生産しているテロの温床地域だ。そこから武器、麻薬、テロリスト、資金というものが出入りすることは何としても阻止しなければならない。アフガンの民生を安定させるうえでも極めて重要だ。
石油資源の9割をあの地域に頼る我が国にとって、あの海域が安全であることは我が国の国益であるし、同時多発テロで我が国の犠牲者24名を含む多くの国々の人々が亡くなったことを考えれば、世界に対してテロが拡散しないということも極めて重要だ。だからこそ、各国の海軍があの海域で洋上哨戒している。しかし、燃料が切れて一々港に戻って補給すればその海域に穴が空く。出来るだけ哨戒網は密でなければいけない。補給艦がそこにいるということは、洋上哨戒活動をきちんと実効性を持たせるために極めて重要だ。
 日本が抜けたらその裏返しで、実効性が損なわれることになりかねない。そうあってはならないので、どこかの船がそれを埋めることになろうと思う。しかしながら、正確で高い補給能力を持っている海軍は世界にそんなにいない。米、英、日本を初めとするが、そんなに多い国ではない。そして、どの国も補給艦をたくさん持ってはいない。日本が抜ければどこかの国にしわ寄せが行く。テロとの闘いで日本が一時的にせよ、その役割を担わない状況が現出すれば、世界にとって、日本にとって、このオペレーションにとって、どうなのだと考えれば、得る物は何もない、失う物が多大であると考える。

高村外務相 
 基本的には防衛相が答えたとおりだ。例えば、海上阻止活動にパキスタンがイスラム国の中で唯一参加しているが、この国は我が国の補給にかなり頼っているわけで、日本が引いた場合に、他の国が日本と同じような条件で支援すれば別だが、もし、しなくなれば、パキスタンの海上阻止活動はかなり困難になると思っている。

北 村
 仮に給油活動が中断あるいは中止された場合、米国やその他国際社会との関係にどんな影響が及ぶかを考えなければいけない。国連決議の中で日本への感謝が寄せられ、日本の活動継続に米国だけでなく国際社会全体が高い期待を寄せている。日本がこの期待に応えられなかった場合、米国や国際社会はどんな反応を示すか。政治家としては賢明な、将来にわたる洞察力を持って招来する結果に対して責任を負う覚悟をしなければならない。

高村外相
 世界の中では日本は大国の1つと考えられている。今までも民生部分は別として、これ(この程度)しか参加していないのを、テロとの闘いからここまで引いてしまうとなれば、テロとの闘いに消極的な国だな、普通の国ではないな、という風に国際社会から思われるのは必至だ。特にインド洋がテロリストの自由の海になっていないことに、一番利益を受けている国は日本だと言っても過言ではない。あの海域を通るのは日本のタンカーが一番多い。他の国が海上阻止活動をして、インド洋を平和の海に守っている中で、日本のタンカーがどんどん通って行く。そして、日本は海上阻止活動に全く参加していないとなれば、世界各国がどう思うかというのは自明のことだ。日本が短期的にも、中長期的にも失う国益は甚だ大きいものがあると思う。

石破防衛相
 外相の話したとおりだ。湾岸戦争の時に増税までして1人1万円ずつ出して130億ドルというお金を出したが、世界から評価されなかった。ある米国の息子さんを湾岸戦争で亡くされた方に、日本が1人1万円も出したんだと言ったら、百ドル札をやおら取り出して、ではこの金を出すから息子を返してくれるかと言われた。それは実話だと聴いている。金だけ出すんじゃ駄目なんだということを我々は学んだはずではなかったか。憲法上の制約でともに闘うことが出来ないなら、何が出来るかということをずっと考えてきたのではなかったか。世界からどう見えるかも大事だが、日本として何をするのかをもう一度考えてみる必要があるのではないかと思う。

北 村
 新たに補給支援活動特措法案が17日、政府から提出された。先ほど外相がイスラム圏のパキスタンに言及されたのは、非常に大切な視点であると思う。我が国の大きな給油支援活動によって、テロ集団の活動、展開が西の方から東のアジアの方へ拡散していくのを阻止してくれていることを高く評価し、認識しなければならない。すなわち、テロ活動はパレスチナ、イラク、アフガニスタン、パキスタンと東の方にずっと押し寄せてきている。やはり、海を使って自由に航海、航行される。ただ、燃料その他安全性もあり、色々悪さをする人にも、経済行為で活動する人にも、一定の航路帯・シーレーンというものがあって、それから離れて移動することは賢明でない。だから、インド洋から南極海まで限りなく阻止活動や哨戒活動をしなければならないわけではない。テロが西から東へ向けて展開していくことに、この海(インド洋)の哨戒活動、阻止活動の給油支援活動は極めて重要である。このことを政府は強く国民に訴えていただきたい。
NHKの10月9日の世論調査では、給油活動に賛成27%、反対21%、残り46%はどちらとも言えない、分からないだった。さらに解説では国民は熟慮中である。熟慮中の賢明な国民全体に対し、如何に熟慮の判断材料を与えるかが、政府や私たちに課せられた重大な課題ではないか。高級、高等な理論、法律、国際社会の難しい条約についてかみ砕いた説明は大切だが、やはり庶民感覚にぴったりくる説明や広報活動を政府が責任を持って民間やマスコミの協力も得ながら、国民に対して出来るだけ正確にしなければいけない。インド洋の給油活動に関し、海上自衛隊の補給艦「とわだ」の航泊日誌の一部が保存期間中にもかかわらず、破棄されていることが10月16日に明らかになった。その前には補給艦「ときわ」の航泊日誌で、既に保存期間を過ぎており現在保有していないと説明した後、予算委に提出されたという事態が生じた。航泊日誌は一体誰が作成して、どのように管理しているのか。責任の所在や管理体制はどんなものなのか。インド洋上の自衛隊の活動は訓練ではない。私に言わせれば、もうこれは作戦活動だ。国内の航空自衛隊がスクランブルをかけるが、これも決して訓練ではないと私は思っている。
それと同じく、命懸けでインド洋に出て行く皆さん方は、訓練も命懸けでやり国際社会との約束の中で極めて大切な仕事をしている。しかも、大切な国民の税金を使ってやっている仕事について、今申したようなことが生じておることは、熟慮中の国民に適切な判断をしてもらう上で、非常な妨げになったのではないかと思う。これに類する事例や事象について誠意を持って十分な説明、理解が得られる努力をし、新法成立のために給油中断が生じないように、生じても極めて短期間で済むように、努力をして頂きたい。

石破防衛相
 ご指摘はその通りだ。部内規則、海自の使用する船舶に備える書類に関する訓令がある。昭和29年作成のものだ。当直士官は航泊日誌を記載し、自己の署名した記事に責任を負わなければならない。艦船の長は当該日誌を点検した後、所定の欄に押印、自署することになっている。誤破棄したとか、存在しないものがあったとかは、一体これはなんだということになる。この件についてはもういい加減なことは許されないので、きちんと調査し、国会に近々報告することにしている。これは船だけでなく陸海空自衛隊すべてについて書類の管理、保存、点検をきちんとやらねばならないと思う。委員が言うようにこれは実オペレーションだから、文民統制をきちんと確保することが必要であって、文書の管理がいい加減だということは絶対あってはならない。今後、文書の管理をどのように徹底するか、きちんとした方針を示し、実践をして参る所存だ。