第147回(5月1日)18年度水産白書固まる 水産物の輸出促進
 政府は、5月22日の閣議で18年度水産白書を了承する予定だ。白書は、水産の実態や施策の必要性について国民の理解を深めるため、平成14年度から発表され、今回で5回目。冒頭では【トピックス――水産この1年】とし、新たな水産基本計画、マグロ類の資源管理、水産物の輸出促進、国際捕鯨委(IWC)年次会合結果――の4項目をわかりやすく紹介。第1章は、特集テーマ「我が国の食文化を守るために」と題して、水産物の消費・供給など最近の情勢変化を分析、魚食文化を守るために取り組む課題を取り上げている。

 第2章は17年度以降の水産の動向について、水産物需給、国際動向、漁業経営、漁村の活性化――などを詳述した。19年度施策では3月決定の水産基本計画に沿って説明している。白書は私が部会長を務める自民党の水産部会と水産総合調査会の合同会議(4月10日)、政審、総務会(同17日)などで審議したうえ大筋を了承した。水産物の輸出促進では、先にHPで詳しく取り上げた我が選挙区の長崎県北松地域日中輸出入促進協議会の取り組みを紹介している。同月11日に来日した温家宝中国首相は、日中首脳会談で日本産米の輸入に同意しており、経済躍進を遂げた中国は、日本の農水産物の輸出市場として巨大で極めて有望だ。

若者の「魚離れ」が深刻
 特集では、若年層を中心に「魚離れ」が進行する一方、世界的にBSE(牛海綿状脳症)や健康志向の高まりから魚食ブームが生じ、我が国が輸入競争に負ける「買い負け」が起きていると消費・供給の動向を分析、我が国魚食文化の守るべき課題を明らかにしている。
 水産物は、日本人の動物性タンパク質の約4割を占める重要な食料であり、その摂取量は世界のトップレベルにある。厚生労働省によると、成分のドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)は脳の発育に関与しており、タウリンは血圧を調整、「魚を8回食べる人は1回しか食べない人に比べて心筋梗塞を発症するリスクが6割低い」ことも明らかにしている。
 
 食用魚介類の自給率は、昭和40年代に100%以上だったものが、その後、遠洋漁業・沖合漁業を中心に生産量が減少する一方、消費量は急増し、自給率は大きく低下している。近年は生産量の減少が鈍化すると同時に消費量も減少傾向にあり、自給率は平成12〜14年の53%を底に、17年は57%まで回復している。だが、「魚離れ」の実態は深刻で、平成7年から16年までの1人1日当たり肉類・魚介類の摂取量の変化を見ると、すべての年齢階層で魚介類は減少し、肉類は横ばいの様相を呈している。

価格競争など「買い負け」現象
 大日本水産会の調査によれば、食事の主菜は肉料理派の6割に対し、魚料理派は僅か1割。理由は @子供が魚介料理を好まない A魚貝類は肉より割高 B魚料理は調理や後片づけが面倒――などが挙げられる。しかし、欧米ではBSE、鳥インフルエンザの影響や健康志向の高まり、中国でも経済発展や流通インフラの整備によって水産物需要が急増するとともに、水産物の国際価格が上昇し、我が国の輸出業者が価格競争について行けず、他国に取られる「買い負け」現象が起きている。

 FAO(国際食糧農業機関)の予測によれば、2015年の総需要量は4割程度増加するものの、生産量の伸びは3割程度にとどまり需給ギャップが拡大、水産物奪い合いの時代が来ると見込んでいる。こうした中で、魚食文化と国民の健康を如何に守っていくかが大きな課題だ。農水省の調べでは「生鮮・加工水産物は消費者の9割が「国産品志向」で、魚介料理を食べる機会を増やしたい人は5割以上いる。肥満や成人病が増加する中で特定保健用食品の需要が高い」ことが分かっている。

魚食普及と流通改革推進
 そこで、消費者ニーズに応える水産物の安定供給には、 @旬の魚の魅力とおいしい食べ方の伝授、水産物の健康特性PR、地産地消の促進と学校給食の積極的利用など「魚離れ」に歯止めをかける魚食普及の展開 A産地市場の統廃合、前浜と消費者を繋ぐ多元的な流通経路、産地と消費者の交流を通じた安全・安心情報ネットワークの構築など流通の改革 B水産資源の持続的な利用と水産物の安定供給の確保――を推進すべきだとしている。

 平成19年度の施策では @水産資源調査・研究の推進 A排他的経済水域や公海域を含む国際的な資源管理 B海外漁場の維持・開発と国際協力の推進 C海面・内水面を通じた水産動植物の生育環境の改善と増養殖の推進――など、今後5年間の水産行政を方向付けた3月決定の水産基本計画の重点施策を列挙している。
 【トピックス――水産この1年】の中の「1 新たな水産基本計画」、「2 マグロの乱獲許しません」、「3 水産物の輸出促進」、「4 IWCの正常化に向けて」などは決定の度に北村HPで取り上げているので参照されたし。

25年までに輸出1兆円目標
 「我が国のコメと和牛ステーキ、日本料理を今日の夕食会で用意しているので、是非味わって欲しい」(安倍首相)、「米の輸入に同意する」(温家宝首相)、「謝謝(シエシエ)」(安倍首相)――。首相は日中首脳会談でこう述べて、農産物の対中輸出に精を出したという。
 
 中国でも人気の高い歌手の谷村新司やアグネス・チャンも招いて「昂(すばる)」を唱わせるなどサービスに努めたというから、当然、晩餐会には寿司や刺身も出して、魚食文化の普及にも配慮してくれたと思う。「おいしく、安全な日本の農水産物の輸出を平成25年までに1兆円規模とする」ことが安倍内閣の目標だ。

 首相は年内の再訪中を温首相に約束したが、その際には出来たら東北部(旧満州)の大連にも足を伸ばし、長崎県松浦市の漁業団体が発足させた日中輸出入促進協議会が大連で実施している、小型サバを使った日本家庭料理の講習会・試食会の成功ぶりを是非視察して貰いたいと私は考えている。