第146回(4月16日)米軍再編特措法案で質疑 佐世保にも配慮
 与野党は7月参院選の行方を占う4月22日の参院福島・沖縄両補選に総力を挙げて戦っている。特に沖縄は、選挙結果が懸案の米海兵隊普天間飛行場移設問題に影響を与えるため、各党は幹部を総動員して応援している。飛行場移設問題に深く関連するのが、私の属する衆院安全保障委員会で審議中の「駐留軍等再編の円滑実施特別措置法案」(在日米軍再編推進特措法案)だ。(同法案は12日衆院を通過しました)

 首相は月末に訪米、対北朝鮮政策などで“すきま風”が吹いた日米関係を修復しようと首脳会談を開くが、その際に手土産になるのが今月内成立を目指す同法案である。法案内容については3月16日のHPで詳しく紹介したので重複は避けるが、  @在日米軍の施設や部隊移駐を受ける自治体に「再編交付金」を新設  A高負担の自治体に公共事業の補助率嵩上げ  B海兵隊のグアム移転支援に国際協力銀行の業務特例を作る――が主な内容。同委では参院補選を意識した野党が、前原誠司前民主党代表ら多くの幹部を立て、北東アジアの緊張、入間基地に配備した地対空誘導弾PAC3、飛行場移設の名護市辺野古沖の環境アセス、日米沖縄戦での集団自決問題などを多角的に追及した。

FCLPは2年後に日米決着
 同委の理事を務める私は4月3日の質問に立ち、法案の問題点に絞ってを細かく質した。取り上げたのは、 @米軍再編で削減される基地労働者の処遇と借地料収入などの変化  A再編で負担が増加する特定市町村の区域範囲と指定基準、交付額算定方法  B岩国飛行場滑走路の沖合移設事業の経緯と米軍再編の一環である厚木から岩国への艦載機移転――など。

 これに対し、久間章生防衛相は「詳細な米軍再編計画が出ていないので転職などの具体的数字は掴めないが、返還土地にどういう振興策を講じていくかがキーポイントだ」「再編で負担が増加する市町村に最大限の配慮と敬意を表すだけでなく、従来から米軍施設があって、負担を受けている地域に対しても、別の手当や単なる予算措置を講じるだけでなく、従来から粛々と摩擦なくやってきた地方自治体の日頃のご努力に対し、十分敬意を払って、政府としては色々な点で相談に乗っていきたい」と答え、佐世保など沖縄以外の基地に対しても手厚く配慮していく姿勢を明らかにした。岩国の艦載機移転問題について同相は「私がやらないと明言したのはNLP(夜の訓練)で、昼間の離発着訓練(FCLP)については、2年後の夏までに訓練場の候補地をきちっと米側に示そうと思っている」と述べた。


騒音生ずる場合も特定市町村
 特定市町村の指定基準などについては、大古和雄防衛政策局長が「政令で定める範囲内の市町村で、再編関連の特定防衛施設が所在する市町村のほか、例えば航空機の新たな配備が行われ、騒音が生ずる場合については、所在市町村に隣接する市町村等を検討している」などと、下記のように詳細な答弁をしている。 
 
            <質疑応答の要旨は下記の通り>

  北   村   まず、過日、徳之島で離島救急患者輸送の途上、殉職された陸自ヘリ搭乗員4名の方々に哀悼の意を表し、関係者にお見舞い申し上げたい。沖縄の在日米軍再編の進行、グアム移転等々により、駐留軍などで仕事をなさる労働者が、どのように削減、あるいは移動されるのか。余剰人員に対してどのような処置を考えているのか。

 久間防衛相  沖縄の米軍海兵隊関係で約4600人の労務者がいるけれども、詳細な米軍再編計画が出ていないので、転職などについて現段階で具体的数字はつかめていない。

  北  村   色々な移動、動きがある方々に対する対応を真摯に取り組んで頂きたい。労働者の削減や軍用地等の土地の返還に伴い、人の移動による収入の変化、所得の変化、借地料その他関連の、沖縄に入っていた収入がどのように大きな影響を受けるかを把握しているか。

 久間防衛相   返還される分の地代等がその人達に入ってこなくなることは十分考える。しかし、同時に返還土地にどういう振興策を講じていくかがキーポイントだ。米軍の借料は入ってこないけれども、他への転換が可能になって沖縄の振興に繋がっていく。政府の関係機関と協力を取りながら、また、県とも一緒になってそういう方向に努めていかなければならないと思っている。

  北   村   政府全体、沖縄県、関係市町村、関係の地主、沖縄の企業、産業界が一体となって沖縄の振興策を図っていかなければならない、大変大事なところに差し掛かっている。今回の法案は大切なもので、米軍の再編に伴い負担が増加する市町村を再編関連の特定市町村に指定して再編交付金を交付する措置を定めている。特定市町村に指定される区域の範囲はどのような基準で定めるのか。交付金の交付額算定方法はどのようなものか。

 大古防衛政策局長   政令で定める範囲内の市町村で、再編関連の特定防衛施設が所在する市町村のほか、例えば航空機の新たな配備が行われ、騒音が生ずる場合については、所在市町村に隣接する市町村等を検討している。市町村の具体的な指定では、再編の実施が周辺に及ぼす影響の程度等、個々の地元市町村の状況を考慮して、当該市町村で住民生活の利便性の向上に寄与する事業を行うことが再編の円滑かつ確実な実施に資するために必要であるという点に基づいて判断する。交付額の算定方法は、まず、米軍再編に伴う住民生活の安定に及ぼす影響の増加の程度等を考慮するということ。

 2点目として、米軍再編の実施に向けた措置の進捗状況に応じて交付するということもある。影響の程度は、例えば、防衛施設面積自体が増加するか否か、どのような施設整備を行うか、どのような装備が配備されるのか、どの程度の規模の人員が増加するのか、訓練移転の場合は、どのような内容の訓練を行うのかについて基準を設け、交付金の算定に当たりたいと思っている。進捗状況に応じた交付金の関係では、再編が実施された場合の交付額の上限額として、進捗状況に応じて段階的な交付額を設定する制度を検討している。具体的な進捗状況の各段階については、一例だが、地元市町村が再編の実施を受け入れた段階、2番目として、環境影響評価に着手した段階、3点目として、施設整備工事に着手した段階、それから再編が実施された段階という風な各段階が考えられると思っている。

  北   村   丁寧な答えで有り難い。交付金を交付するに当たって、やはり地元との調整は大変必要と思う。全ての事項を法律で定めておくことは、心がけとしてその努力は大変必要だと思うが、基地というものの存在、基地住民に対する負担、基地の所在によって受ける障害、といったことがあるわけだから、はっきり結果が出ていない状況の中で、あまりにも確定的に法律で決めてしまえば、それこそ押しつけになるのではないかと私は考える。だから、丁寧に関連自治体と協議を進めて、地域の実情を十分に勘案した政令となるように図っていくことが肝心ではないか。重ねて確認願いたい。

 久間防衛相   確かに法律で法定するのが一番はっきりするが、なかなか、法律でそこまでやっていると、その都度、こういうものが出てきた時に法律を改正しなければならない点もある。従って、政令で定める場合でも、誰が見ても不公平にならないように、一定基準を内部で作ってこういう委員会とか、広く一般に言いながら政令を定めていく方が柔軟性があると思っている。例えば、飛行機だったら50機以上が増加するとか、何か、それだけ揃って移ってくるとなったら大変だなというような、そういうことがきちんとカウントされるような基準を示しながら、これについては特別扱いしますよ、というようなことにしていこうと思っている。それにはどうしても政令に委ねざるを得ない。

  北   村   もちろん、現在の沖縄の負担は大変重いと思っている。だから、在日米軍の問題全体を考え、日米同盟の利益を受けている我が国全体の問題として受け止める必要がある。その意味でも米軍再編に基づく訓練の移転や土地の返還あるいは積極的な施設の共同利用を進めるべきだと思うわけで、この特措法を成立させて、関連施策の円滑な実施に資することが大変必要と考える。

 しかしながら、米軍の所在によってその地域には利益とともに有形無形の負担が生じている。私の地元、長崎県佐世保にも米海軍の基地があり、このことは日常肌で感じている。米軍再編の施策を推し進めるに当たり、これまで色々な障害が生じていた地域、新たな負担を強いられる地域に対しても、一定の配慮、すなわち、今審議されている交付金のような財政配慮だけではなくて、負担の受け入れに対して、地域関係者、関係国民に対して敬意を表するような姿勢を政府が国民を代表して常に示していく、精神的な配慮もきちんと取っていく必要があるのではないか。

 久間防衛相   今回の再編によって負担が増加する市町村に対して、我々としても最大限の配慮と敬意を表するわけだが、それだけでなく、従来から米軍施設があることで負担を受けている地域に対しても、別の手当や、単なる予算措置を講じるだけでなく、そういうことを受け入れて貰って従来から粛々と摩擦なくやってきていることは、その地方自治体の日頃のご努力の賜物であるから、十分敬意を払って、これから先も、政府としては敬意と同時に色々な点で相談に乗っていく姿勢は必要だし、努力したいと思っている。佐世保は米軍再編に直には関係しないが、色々な点で配慮を賜っていることは常々、佐世保市当局に対し、私からも敬意を表しているところだ。

  北   村   市民にかわっていつものご配慮にお礼申し上げる。次に、話題の岩国飛行場について尋ねたい。滑走路の沖合移設事業は恐らく20年前後の期間をかけての事業と思うが、どういう経緯をたどり、どうい目的で事業が行われたのか。米軍再編の一環として厚木から岩国に艦載機が移転する、それらも含めて事業完成、終了と認識すべきものなのか。

 北原巌男防衛施設庁長官   岩国飛行場の運用上、安全上並びに騒音上の問題を解決する観点から、平成8年度から工事に着手、現在の滑走路を沖合へ約千メートルほど出す工事だ。順調に進んでおり、平成20年度には完成したいと努力している。厚木からの空母艦載機の移転は平成26年度までに完了する考えだ。滑走路の沖合移設事業に伴う施設整備関係も含め、当該事業に影響を与えないよう、今、米側と協議を進めている。

 
 北   村   2月9日に久間大臣と岩国市長が会われた際に、米軍再編問題に関して国との協議機関を設置して欲しいと岩国市長から要望があったそうだが、新聞は、大臣の方がそれを断ったと報道していた。私は、法案審議などで大臣の説明、答弁を聞いていても、大臣が断るという風なことは考えられない。大事なところなので大臣の真意を聞きたい。

  
久間防衛相   協議機関を形式的に作る話は確かにあった。しかし、私が岩国市長に言ったのはこうだ。沖縄の場合は、市町村の数も名護だけでなく、色々なところも関係し、県も一緒になっているから協議機関という形でやらざるを得ないが、岩国の場合は、遠慮なくいつでも会えるので、わざわざ協議機関を作らぬでもいいじゃないか。施設局も呼んで貰えば岩国市へ行くし、岩国市長が局長に会いたいならいつでもやるので形式的なことより、意思の疎通を欠かさぬよう絶えず会いましょうと話したわけで、拒否したことではない。

  
北   村   それを聞いて安心した。艦載機の一部を引き受ける岩国、特に艦載機のFCLPという離発着の訓練を受け入れなければならないと深刻に受け止めて、岩国市長は非常に心配している風な報道があったけれども、明らかに岩国ではFCLPは実施しないと久間大臣は昨年の委員会で答弁されたし、安倍首相も地元での記者会見で同趣旨のことを申されたと私は理解している。

 また報道で恐縮だが、2月26日、岩国市長が広島防衛施設局長と会談した際、FCLPの恒常的施設の候補地選定や日米協議の進捗状況を明確にするよう求めたところ、施設局長は米側と協議中と従来通りの回答を繰り返した。これでは、岩国市議会が大変前向きな決議をされたやに聞いているのに、折角の状況づくりが整ってきているのを台無しにしてしまわないかと危惧するわけだ。政府一体として地元との誠実な協議が重ね重ね求められている。大臣の所感を聞きたい。

  
久間防衛相   私がやらないと言ったのはNLP、要するに夜の訓練はやらないと明言したわけだが、昼間の離発着訓練については、その時は確か、はっきりは言わなかった。いずれにしても、後2年後の夏までに離発着の訓練をする場の候補地をきちっと米側に示そうと思っているが、そういう絡みもあって夜間訓練だけはやらないと委員会答弁したわけだ。

  
北原施設庁長官   誤解があるといけないので整理すると、大臣答弁のNLPはいわゆるFCLPの1部だ。岩国市長から数次に渡り、恒常的なFCLP施設を岩国に作るんじゃないかと指摘され、大臣も我々事務方も、それを岩国に求めることはないと明確に答弁している。2月26日に行われたのは大臣と井原岩国市長の会談で、同月9日の会談を踏まえて行い、岩国にはFCLP施設を求めない、と明言している。

 
 北   村   もう一度確認するが、FCLPの1部であるNLP、夜間離発着訓練、岩国においてはNLPをやらないという認識でいいのか。

  
北原施設庁長官   空母艦載機の離発着訓練は現在、基本は硫黄島で暫定的にやっている。ロードマップ上は大臣答弁のように、2009年の7月またはその後の出来るだけ早い時期に選定するという目標が定められている。それで岩国の関係だが、空母艦載機が岩国に行ってNLPをすることはない。

 基本は硫黄島でやっているが、ただ、低騒音機、E2Cみたいなプロペラみたいなものは厚木でもやっているので、空母艦載機が移駐した後もこれは岩国で行うと言ってある。さらに、硫黄島が天気が悪い場合は、岩国と三沢、それから厚木などは予備の基地になっているので、そういう場合には行うと併せて言っている。ただ、平成13年以降、岩国が予備基地としてNLPで使われたことは結果としてない。

 
 北   村   米軍再編の一環として、横須賀の基地が平成20年8月の配備と聞いているが、原子力空母とキテイホーク、通常型の空母の交代があって、色々な努力によって横須賀市民も市長も理解されて、受け入れがまとまったと聞いている。皆さんの努力を多とするが、それによって色々生じることに対し、十分な対応をしていくためにもこの法律は必要になると思う。

 佐世保には原子力潜水艦等がよく入港する。事故はないと信じているけれども、万々一、原子力艦艇に事故があったときに、備え有れば憂いなしで、佐世保市民、市長を初め、基地関係者の訓練に、原子力艦艇の部分に関する分野ついても一緒に参加してくれないかと年来呼びかけてきている。横須賀では空母の配備とともに、米側も理解を示し、そのようなことが可能になりつつあると聞いている。

  久間防衛相   横須賀は米原子力空母の母港となるわけで、そこに載っている艦載機が厚木から岩国に移るとかで、この法律との関連性があるけれども、佐世保の場合は、これまで原子力空母の寄港地だ。母港ではなく、この法律とも直接的な関連がないので、米軍再編に伴う、佐世保がその整理対象になり得るかというと、それは非常に難しい。ならないと答えることの方が正しいと思っている。