北村の政治活動

 (平成13年7月16日) 農協改革で衆院農水委質疑  諫早干拓も質す

 北村は6月20日の衆院農林水産委員会で農協改革2法案について質問に立った。改革2法案は、農業協同組合法の一部改正と,農林中央金庫法の全面改正をセットにしたもので、来年4月からのペイオフ解禁など金融情勢の激変に備え、農協の体質を強化するもの。
農協系統の組織見直し(農協法一部改正)では、@法人経営も家族経営と同じように正組合員とするA農協の第一の事業は農家組合員の経営・技術の向上のための指導を明確にするB信用事業を行う農協には常勤役員3人以上を置くC農協の常勤役員等の兼職・兼業規制を強化するD信連をはじめ連合会には経営管理委員会設置を義務付けるE農協中央会の決算監査対象を拡大するF一定手続きの下に農協の地区重複を認めるーーなどが骨子。

 地域農業振興で再構築

 これにより,農協は農業担い手のニーズに即応する体制が整い,地域農業の振興に重点を置く組織に再構築される。また、組合員のメリットを大きくするため業務執行体制を強化し、同時に農協系統の自己責任体制を確立するための農協中央会の強化も図られた。
一方,農林中金の見直し(農林中金法の全面改正)では、@大正12年制定のカタカナ法制度を現代的に改めるA農林中金は農協・信連を会員とする農林漁業者の協同組織金融機関と明記B会員代表による経営管理委員会と職務専念の金融専門家による理事会を設置B農林中金・信連統合法を改正するーーなどが柱で,新たな農協金融システムを構築している。

 営農指導に的絞る

 衆院農水委員会で北村は、農協改革2法案の焦点である、営農指導事業に的を絞って質疑を展開した。これに対し,武部勤農水相は「営農指導の技術水準は低く,農家の知りたい栽培技術等を十分身に付けていない」などと述べ,営農指導を農協第1の事業に明記した背景を説明するとともに、「試験場,肥料,農薬等のメーカー,地域農業改良普及センターの協力を得て営農指導員の質の向上を図る」と答えた。

 貝への影響は軽微

 北村はこのほか,諫早湾干拓の水質、ノリ養殖の酸処理剤問題などを取り上げ、環境保全型の農漁業について政府に見解を質した。渡辺好明水産庁長官は「酸処理剤の販売量は有明海が2900トンだが適正に使用されており、貝類に与える影響は軽微だ」と答え、学者が疑念を抱いている酸処理剤と貝の被害との関連を否定した。

 6月29日の衆院農水委員会での質疑内容は次の通り。

 北村 農協改革2法で尋ねたい。武部農水相は5月26日、多忙な中、有明湾全体、また諫早湾の干拓事業を視察、関係者の生の声をお聞き頂いてありがたかった。干拓事業は後で質問したい。農協の本来の役割は農業生産力の増進、農民の経済的、社会的地位の向上だ。平成11年には食料・農業・農村基本法が制定され、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的発展および農村の振興という基本理念が示された。
 農協系統も新基本法の理念の実現に主体的に取り組むことが必要だ。近年の農協系統の経営状況は、概して信用事業と共済事業では黒字、経済事業の購買、販売部門では不振な状況で、信用、共済の利益で販売、購買の欠損を補っていると思う。このため、今回の法案では、営農指導事業を農協の第1番目の事業に位置付けている。肝心なことは、この改正でそれぞれの農協が真剣に営農指導に取り組んでいくことが大事だ。本来農協に聞くべき部分もあるが、農協がこうした地域農業の振興や、担い手の期待に応えて営農支援をどのように強化していくべきかを尋ねたい。

 武部勤農水相 営農指導については、技術指導水準が低く、篤農家や法人経営、先駆的青年農業者のレベルにははるかに及ばない。あるいは、肥料、農薬等の生産資材の売り込みや農協を通じた出荷の拡大等に専念し、農家の知りたい栽培技術等を十分身に付けていない。合併により広域化するにつれ、営農指導がなおざりにされがちであり、少なくとも組合員とのつながりが希薄化している。主として組合員の賦課金により賄われていることを理由にして営農指導員の数を増やさない等々の批判が寄せられている。今後、担い手の育成、食料自給率の向上等を図るための構造改革をすすめることが急務となっている。
 営農指導を農協の第1の事業として明記したのはかような背景があるわけで、この考え方のもとで地域農業改良普及センター等との連携を図りながらその実現を図る。法人経営、大規模家族経営等とのネットワーク化を図り、指導の重点化を図る。試験場、肥料、農薬等のメーカー、地域農業改良普及センター等の協力を得て営農指導員の資質の向上を図る。農産物の有利販売の観点からの対応を戦略的に実施する。かようなこと等により、生産から農産物販売までをカバーすることを旨として、営農指導の質の向上を図ることが重要である。

 北村 都道府県の改良普及センターの普及員が技術指導などを中心に行っている。そこで今度、農協の営農指導事業と都道府県の普及センターが行う普及事業と、この役割分担をどのように考えているか。また、農協改革を進め農協の営農指導を強化するうえで、両者の連携が非常に大事だが、どのように連携していくのか。さらに、農業改良助長法によれば、国と都道府県が連携して協同農業普及事業を展開することになっている。これも頭において、法改正の第1に据えた営農指導に、この際どのように取り組もうとするのか。

 須賀田菊仁農林水産省経営局長 農協の行う営農指導事業と地域農業改良普及センターの行う普及事業だが、ありていに言えば、農家から見ると、技術レベルというのは普及の方が高いが、農協の方は営農指導に生産資材の供給だとか農産物の販売だとかの事業がついている。従って、技術指導の面では既に確立された技術の徹底は農協が行い、新たに開発された高度な技術の導入等は、普及が担当するという風に分担したいと思っている。
 営農指導の面では、販売事業にかかわる出荷規格の統一は農協が担当、経営体の経営発展のための高度な経営分析とか診断とかは、普及が実施するとの役割分担で行う考えだ。
いずれにせよ、営農指導員の資質向上が求められている。試験場、普及等の力を借りて研修等に努めながら、資質向上の面では普及の力を借りたいと考えている。具体的には農協の営農センターが事務局になって設立する地域農業戦略協議会の中に普及を入れて、連携が図られるようにしたいと考えている。

 北村 私の地域では、資質の高い営農指導員を農協にも確保できるように合併をしたり、色々な大きなスケールになって優秀な人手を確保することを目指し今合併を推進している。
その中で、農協が根本的に優秀な人を確保、あるいは営農指導員の資質向上のための研修なり教育なりをする余力、余裕が農協自体の財政的な面になかった。だから、今度の法改正で農家あるいは担い手は、ぜひ仕組みの中で農協が営農指導のために割く人、それから金を確保できる状況にしてほしいと期待している。

 須賀田経営局長 農協の一般的な営農指導は農協の本来業務であり、それを支援するのはなかなか難しい。しかし、国として望ましい地域農業の再編とか、生産対策とかの事業については色々な形で対策事業を組んでいる。その中にはハード事業と並びソフト事業もある。このソフト事業は集めると相当な金になるわけで、そのような色々な事業の中から農協の方が自分に適した事業を選んで頂き、予算を活用してもらう仕組みで今後活用願いたいと考えている。

 北村 協同農業普及事業を農業改良助長法によって、国と都道府県が連携して真っ直ぐ現場に入っていくこともできるというが、その辺も是非応用して使いこなせるようにやって頂きたい。これは要望だ。
 諫早湾の干拓で尋ねたい。最初は調整池の水質問題。6月18日にも調整池の水質委員会が開かれた。これまでも長崎県サイド、九州農政局サイドは連携して、諫早湾防災干拓事業を推進してくる中で、環境問題、水質問題について十分高い意識をもって取り組んできたことを私は承知している。その中で、水質が非常に悪い、汚れている、極端な人は腐っているというとんでもない表現まであった。この際はっきり言うが、特段にあの調整池の水が汚れている、まして腐っていると言われるような状況にはないと私は認識している。

 木下寛之農村振興局長 水質は基本的には調整池に入る本明川などの河川から流入する負荷によって形成されると考える。具体的な水準だが、季節や雨が降った後等々によって変動があるけれどもCOD、化学的酸素要求量で見ると1リットル当たり6ミリ前後、全窒素は1リットル当たり1・5ミリグラム前後、全燐は1リットル当たり0・2ミリグラム前後で推移している。この水準は例えば霞ヶ浦よりも低く、諏訪湖とほぼ同じレベル、有明海奥に流入している六角川等々の河川水質とほぼ同じレベルにあると考えている。また、水質に関連し、色についても指摘がある。成分分析を行ったが、底の泥に近い組成で、調整池の水深が浅いこともあり、諫早湾に元来ある潟土が巻き上げられていると理解している。

 北村 潟の泥が巻き上げられているとの最後のくだり。深いところ、浅いところと、ずっと変化があるわけだし、池みたいな、湖みたいなところだから、風で波が立てば当然巻き上げが起こる。そういうところにアシとかヨシとかを植えたいということで、漁業者に対して農水省がごく最近、わざわざ説明にも出向いていると聞いている。だから、相手方がどのような態度で臨むかは別として、こちらは誠実にそういう対策で努力をしていることをきちんと説明し、実際の行動、努力を積み重ねていくことが非常に大事と思う。
 もう1点。昭和53年ごろから普及しているノリの養殖に使うクエン酸とか酢酸とかの酸処理剤、これが20年余り有明海のノリ養殖場で使われている。これを使うとアオノリがノリひびに、網につかないということで非常に有効な方法であるようだが、20年余の使用の実績、これを使うことで貝類の生産量がどういう推移になっているのか。

 渡辺好明水産庁長官 酸処理は高品質のノリの安定供給に欠かせない技術。平成11年度の酸処理剤の販売量は全国で6000トン、有明海では2900トンだ。PH2程度だが、5分間程度網を浸す。その後海中に戻すと海水の強い緩衝作用によりPH8程度に戻るので、貝類等への影響は軽微と言われている。いずれにせよ、県や漁連等と連携し酸処理剤が適正に使用され、残液の回収を徹底するよう指導している。この指導徹底は59年からで、53年ごろに使われていた酸処理剤と59年以降の有機酸の酸処理剤に、そこで境目がある。

 北村 影響が軽微だというが、酸処理剤は悪影響を与えて貝類が死んでいるのではないかと疑いを持つ学者、科学者もいる。十分注意をして、適切な使用、そして汚染、公害と言われないよう持っていかねばならない。これは第三者委員会の中で当然議論がなされるべきで、水産庁もさらによく見守って頂きたい。
 最後に、農林大臣は現地を視察、農家代表とも話をされた。農家の方は600年前から作ってきた干拓地が、新しい干拓地の後背地で、あの堤防が出来たことで非常に安全に、自分たちが望む営農が出来ている。旧干拓地部分の用水路、排水路,これに水をためて畑仕事に使っている。用・排水路の貯水を使った営農を今日的なものとして、まさに調整池の水を,真水を営農に使うのだということでやってきた。だから,農家が安全な食料,農産物を作るのに腐った水とか心配のあるような水を使って耕作,営農をすることはまず考えられない。
県もそういうことで国と連携を取りながらやってきた。環境保全型,自然と共生する農業を実現していくと大臣も就任以来力説されている。その観点から,諫早の干拓地に出来た農地は国が事業主である。県や関係農家の意見、希望も大事だが,国が事業主体であると考えたときに,営農の形は国がリードし,有明海がきちっと再生していくような諫早湾の干拓,営農に結びつくようにやって頂きたい。大臣の所見を聞きたい。

 武部農水相 諫早湾の干拓事業は,実際に見たものでないと分からないという感慨を感じた。私ども,オホーツク海に流氷が必ず参る。猟師が,氷のこない海がほしいという思いを皆持ち続けて養殖事業に取り組んできた。従って,あそこに住んでいる皆さんが干拓事業にかけるその熱意は,痛いほど分かった気がする。今後の営農のあり方については,21世紀のモデルとも言うべき,それにふさわしい自然との共生を第一に考えたプランが出来ないものか,関係機関一体となって構想してみたい。