第134回(10月16日)攻めの水産を展開 党水産部会長に就任
 安倍政権の誕生で、私は党執行部(幹事長直属)の副幹事長を離れ、党政務調査会の水産部会長に就任した。「水産県長崎」を代表する政治家として縦横に活躍出来る場を与えられたことは光栄であり、水産行政に打ち込もうと力をみなぎらせている。旧に倍するご支援を賜りたい。

 水産業界は、A重油価格の異常高騰、漁網・漁具など関連資材の高騰、アジ・サバなど多獲性魚の産卵場所である日中暫定水域での中国ガス田開発、水産資源の悪化、漁業就業者の減少、さらにはエチゼンクラゲ大群の日本海来襲――など危機に直面している。   

 そうした逆境の中で6日、宮城県気仙沼のサンマ漁船が荒天の女川沖で座礁、乗組員16人が遭難したことは真に痛ましい。心からご冥福を祈り上げる。来春の水産基本計画見直しや来夏の指定漁業許可の一斉更新など行政の課題も多い。農政ベテランの松岡利勝農水相は「攻めの農政」を主張しているが、私も前回のHPで上海の魚食キャンペーンを紹介したように、「攻めの水産」を大いに展開する考えだ。来年度予算編成では、農水省、水産庁を督励し、漁業・漁村の再生と水産振興に力を尽くしたいと意欲を燃やしている。


伝統的魚食生活の復活を
 日本は、コメと魚と野菜が基本のバランスがとれた健康的な食生活で、世界で最も高い長寿国を誇ってきた。それが、日本周辺水域の漁獲の減少と、長引いた不況による消費と魚価の低迷など、経済環境の悪化で漁業者の生産コストは半分の5割に削減されている。

 漁業の衰退は目を覆うばかりだ。この1年はBSE(牛海綿状脳症)問題で安全、安心な食料が期待されているというのに、魚中心の伝統的な日本型食生活の復活はみられなかった。「釣れない」漁場、「安い」魚価、「魚離れ」の若年層。それに漁業就業者の減少・高齢化などによる生産量の大幅減少などで、輸入原料への依存度が高まってきた。食料自給率は農業が40%、漁業が50%だ。この局面をどう打開し伝統的食生活を復活させるか。


相互主義で「攻めの水産」
 「日本の農産物ほど世界で品質、味に優れたものはない。車で言えばロールス・ロイス、宝石ならばダイヤモンドのようなもの。この強い武器で、世界に冠たる日本の農業を実現できる」――。松岡農水相は読売新聞のインタービユーで日本農業の未来を語り、「攻めの農政」として、@輸出の大幅増大Aサトウキビなどでエタノールを作るバイオマスエネルギー生産の大展開B農業担い手への政策集中――の3本柱を挙げた。

 松岡氏は農業、畜産の大家だ。WTO農業交渉などでは、これまで日本農業を外国の農産物から守ろうとする姿勢が強かったが、これからは「ギブ・アンド・テーク」の相互主義の観点で行くべきだと主張している。私も同様に相互主義で魚食の交流を図り、「攻めの水産」を拡大したいと考えている。その点、長崎県北松地域日中輸出入促進協議会が中国の「百聯集団有限公司」と共催で、9月末から10月上旬にかけて上海で魚食文化普及のキャンペーンを開催し、私も参加したが、大成功を収めたことは、極めて有意義であった。

佐世保は小型魚を新商品に
 その際に、北松地域協議会が1昨年からアジ、サバなど冷凍小型魚の輸出促進試験を中国の大連で実施していることも私のHPで伝えたが、わが選挙区の佐世保では小型魚を新商品として、国内市場に売り出すことにも成功している。これは5日朝のNHKテレビ「トレンド情報」でも取り上げられ主婦の関心を集めた。放送内容の概略はこうだ。

 長崎県はアジ生産日本一だが、魚市場の価格は23センチ大のアジがキロ当たり600円であるのに対し、13センチ大はキロ当たり僅か30円と20分の1。これは23センチ大が刺身、フライ、焼き魚などいずれの料理にも手頃で主婦が喜ぶサイズとして、食品スーパー、コンビニが規格品に当てはめているからで、規格外は「非食用」とし養殖ハマチ、家畜の餌に回されていた。小型魚は日によって漁獲の3割から5割に達し、農水省の概算によると「非食用」魚は約65.6万トン、漁業総生産量の約12%である。

「もったいないアジ・セット」
 北松地域協議会は、これら規格外の魚の中から型の良い物を冷凍小型魚として中国・大連に輸出しているが、NHKのテレビでは、佐世保魚市場横の加工場で規格外の魚をミンチにし、こぶし大に固めビニール袋に詰め、ハンバーグ、餃子の具、つみれ用として、「そのまんまアジ」「もったいないアジ」などの名前を付けてスーパーで売り出したところ、値段も150円と安いため好評だという。カルシューム分も豊富で子どもたちの健康食品に最適だろう。また、コチなど網に掛かった雑魚も「開き」の冷凍食品にして「もったいないセット」と名付けて千円で売り出したら、主婦に珍しがられて、結構売れているという。

 これらも大連の輸出促進試験のメニューに追加すれば、中国の“巨大な胃袋”は簡単に消化してくれそうだ。日本沿岸の水産資源は枯渇の一途を辿っているが、佐世保のように工夫をこらし、智恵を絞り出せば、まだまだ貴重な資源の有効活用策が生まれるだろう。

工夫・改良次第で輸出拡大
 5日の衆院予算委では、与党議員と国交相との間で「北海道産のスケソウダラがキムチ材料として韓国に輸出されたり、旧正月用に“恭喜”“大吉”などの文字を日光の操作で印字した青森産のリンゴが台湾で1個2千円もの高値で売れている」など物流に関連した質疑のやり取りがあった。工夫・改良の次第で、農水産物の輸出拡大は希望が膨らんでくる。

 「攻めの水産」では去る6月、カリブ海の小国・セントクリストファー・ネビスで開かれた国際捕鯨委(IWC)の年次総会で日本など捕鯨支援国が共同提案した「IWCの活動正常化宣言」が賛成多数で可決され、商業捕鯨再開へ向けて一歩前進した。

 IWCの趣旨は、「鯨乱獲の反省に立ち、科学的な生息数調査に基づく鯨資源の有効利用」にあったが、最近は捕鯨禁止に重点が置かれてきたため、日本近海では20万頭も鯨が増えている。鯨が年間に捕食するイワシ、サンマ類は人間が漁獲する量の3〜5倍もあり、魚類の生態系を乱し水産資源にアンバランスが生じている。次回総会でも捕鯨支援国が結束を固め、「攻めの姿勢」を堅持、沿岸捕鯨の捕獲量増加と出来るだけ早い商業捕鯨の再開を、実現しなければなるまい。


越前クラゲ餌にズワイ蟹豊漁
 「守りの水産」も大事だ。今年も日本海を中心に深刻な被害を出すエチゼンクラゲの大群が、各地に押し寄せ始めた、と読売新聞は5日の1面で報じた。京都府舞鶴市沖の若狭湾では、台風13号が日本海を通過した9月中旬から急増しているという。地球温暖化現象で黄海や韓国南岸が富栄養化し、クラゲの餌となるプランクトンが増えたことが原因のようだ。

 傘の直径が1メートル前後のエチゼンクラゲ数千匹が1つの定置網を埋め尽くす被害は昨年が最大。漁業情報サービスセンターによると、7月21日に長崎の対馬海峡で初確認され、9月中旬には対馬海峡まで北上した。これをどう防ぐか。定置網の入り口にクラゲを切り裂く装置も考案されたが万全ではない。食用の研究も進んでいるが、しょっぱいうえ、費用対効果を考えれば名案は浮かびそうもない。だが、日本海では、死んで海底に沈んだクラゲをズワイ蟹が食べて、蟹の豊漁が続いているとのうれしいニュースもある。


北鮮アサリはDNA検査で峻別
 「守りの水産」で言えば、北朝鮮の核実験で放射能を含んだ地下水が日本海に流れ、沿岸の魚や蟹が汚染される恐れがあり、要注意だ。核実験の対処方針で挙げた農水産物の輸入規制も重要になってくる。北朝鮮の対日主要輸出分にはアサリ、ウニ、松茸などがあり、百数十億円の稼ぎとなっている。アサリなどはこれまでにも、いったん日本近海の浅瀬で短期間育てることで、日本産と称し広く流通してきたが、制裁措置となれば、北朝鮮のアサリは東海岸と西海岸ではDNAが異なるので、検査によって峻別し、厳格に輸入規制をしなければならないだろう。

 漁業者の後継者問題も深刻だ。政府は沿岸漁業者に対する老後福祉の向上と後継者確保を図るため、昭和56年度に「漁業者年金」の漁業共済制度を発足させたが、これを充実させなければならない。平成14年度から5カ年計画の「漁港漁場整備長期計画」も18年度(今年度末)でひとまず終了する。漁港と海洋性レクレーション施設を兼ね備えた漁業と観光を調和させるフィッシャリーナの建設も道半ばだ。これらをどう肉付けするか。


離島・中小漁業対策などを解決
 低迷、不安定化の魚価、止まらない漁業用燃油の高騰。これらの安定供給策も求められている。このほか、水産物の自給率向上、沿岸漁業と沖合漁業の調整、漁船リース事業制度の充実・拡充、離島漁業・中小漁業対策など難題は山積している。私はこれらの課題を水産業界の皆さんと一緒に取り組み、漸次解決していきたいと考えている。