第133回(10月1日)刺身・魚食文化普及 上海料理教室を視察
 わが選挙区の「長崎県北松地域 日中輸出入促進協議会」(会長=友広郁洋・松浦市長)は、中国の「百聯集団有限公司」とともに上海で、9月25日から10月5日まで魚食キャンペーンを展開している。

これは経済発展が著しい中国の“巨大な胃袋”に向け、日本の刺身文化、魚食文化を普及させる一大イベント。

中国最大の小売商といわれる百聯集団有限公司傘下のデパート、スーパーの3店舗で、上海市内の日本料理店主らが松浦市周辺の沿海漁業で獲れるハマチ、タイ、天然ブリなどを使って、料理の実演・試食を行い、魚食文化を啓発中だ。同協議会は1昨年からアジ、サバなど冷凍小型魚の輸出促進試験を中国東北の大連などで行っており、今年が3度目。

総裁選直後で慌ただしい日程だったが、私も23日から2日間、友広松浦市長らの代表団に加わり、キャンペーンを視察してきた。私の外遊もアフリカ、豪州などに次いで今年3回目となった。上海花園飯店で開かれた24日の前夜祭には上海副市長や百聯幹部らが多数出席、浜崎智仁富山大学教授が講演した。


12億の胃袋は有望市場
 日本の漁業は200海里時代以降、沿岸の漁業資源が枯渇しているうえ、近年は燃油の高騰で遠洋のマグロなど延縄漁業はもとよりアジ、サバなど大中型巻き網漁業も不振。

おまけに世界から安い水産物が輸入されて魚価が低迷するなどで漁業は衰退を続け、日本各地の漁業者は年々減り続けている。水産物の輸入を減らすには、世界中に魚食民族を増やすしかないとの発想から、中国をターゲットに「海の魚普及」の逆攻勢を掛けたものだ。

中国の沿海部を除く広大な内陸部では、アヒル、豚など家畜や淡水魚が主なタンパク源。長崎県と上海、大連両市間は長崎と東京間の距離とほぼ同じ。長崎県内から日本国内の消費地に鮮魚を発送する感覚で中国に消費地を開拓すれば、中国は12億の民が待つ有望な市場である。

魚を3枚に卸すことも苦手になった日本の主婦と違い、食の国・中国では鶏を絞めるのも家庭主婦の仕事で、包丁さばきが巧く一旦調理法を覚えれば料理に馴れ易い。


世界の刺身人口は増加中
  しかも、日本の寿司は世界的に普及し、既に刺身文化が広がりを見せている。最近、日本国内で黒マグロが値上がりしているのは、地中海で日本輸出用の黒マグロを乱獲して資源が枯渇したこと。それに加え、燃油の高騰で台湾が遠洋マグロ漁船を続々廃船にしたなどが原因。

だが、実際は台湾などで刺身人口が増え、日本への輸出が激減したことも品薄に影響している。中国や台湾で高級魚の国内消費が高まるぐらいなら、アジ、サバなど小型の大衆魚を新鮮なまま売り込むチャンス到来だ。

しかし、冷凍魚でなく鮮魚を長崎魚市場から上海市に輸送する場合、問題なのは衛生証明書の発行、中国側の付加価値税・関税など貿易上のシステムが大きな障害となって時間がかかり、クール便では生きのいい魚を市場に供給できないことだ。

このため、日中友好の2漁業団体が上海在住の日本料理店主などの参加を得て魚食普及キャンペーンを大々的に開き、市民の関心を高めると同時に、日中両国が貿易システムの改善、輸送コストの削減に努力するようアピールしたわけだ。

昨年の魚食普及も大好評
 昨年の魚食普及キャンペーンは、「中日海洋食品と健康文化交流会」と銘打って、今年と同時期の9月28日に中国遼寧省大連市で開催された。

主催は北松地域日中輸出促進協議会、西日本魚市KKと大連海洋漁業集団公司の3者。参加者は日中合わせ200人で、女子栄養大の國崎直道教授が「魚と健康」について講演した後、「料理教室」会場となった同公司食堂に冷凍小型サバ約300尾が用意され、日本からの料理人4人が塩焼き、竜田揚げ、煮付けなどの和風料理を手ほどきし、20人の中国の主婦が料理に挑戦した。

さらに日本産トラフグ、ハマチ、真ダイ、日鰹連提供のカツオの刺身なども振る舞い、天ぷらの揚げ方も伝授したが、いずれも大好評だった。NHKは今年1月23日、「中国食魚革命」のタイトルで、長崎県の松浦魚市場や漁業者が中国で水産物の販売に努力している姿を「クローズアップ現代」で放映、その中で大連の小型魚輸出促進試験を紹介し反響を呼んだ。 

小型魚は餌など「非食用」
 中国はアジ、サバなどの小型魚の漁船操業を夏季は禁漁期間としており、大連の市場の方が、日本の市場より高く評価される可能性が高い。そこに着目して長崎県の漁業関係者はアジ、サバを用いたレシピを紹介する中国語パンフレットを作成するなど、夏の輸出促進試験で積極的に中国市場の開拓に乗り出している。魚食普及キャンペーンもその一環だ。

水産資源は魚種が多岐にわたり、時代や季節によって魚の種類やサイズが大きく変動する。03年の農水省の概算によると、「食用には小さすぎる」として家畜や養殖魚の餌など「非食用」とされる魚は約65,6万トンで、漁業・養殖業総生産量の約12%という。

だが、一昔前なら日常的に食べられていたサイズでも、今は「この大きさだと捌くのが面倒」、「このサイズを消費地に運んでも逆ザヤになる」との理由で、ハマチの餌など「非食用」になっているケースが多く、実際の「非食用」は100万トン近いと言われている。

冷凍小型サバの試験出荷
 松浦魚市場はアジ、サバの「水揚げ日本一」を誇る市場だが、巻き網漁には色々な魚種が混ざっているため、魚の分別作業は陸揚げ後に手作業で行う。寒さ厳しい冬場は一苦労だ。分別後は自動選別機を使って5段階に選別するが、サバで300グラム以下、アジで100グラム以下の「小型魚」は概ね5割に達し、ほとんどが餌用に回される。

命がけで漁をする漁業従事者にしてみれば、たまらなく悔しい思いだろう。日本では「台所が汚れる」、「残滓の処理が面倒」と言って魚を自宅で捌く主婦がめっきり減り、調理済みの魚をスーパーで買ったり、外食店を利用する人が増えているが、300グラム以下のサバでも昔は十分おいしく食べていた。

そこで、04年秋から大連向けに冷凍小型サバの試験出荷を始めた。飽食の日本と違って中国大陸では動物性タンパク質が十分に行き渡っていないと言われ、高度の経済成長を遂げる中国で小型魚の需要を喚起することは、貴重なタンパク資源の有効活用と日本漁業の活性化に繋がり、日中双方にとっても大いにプラスになる。


攻めの漁業、漁村再生に努力
  大連では今後、「フグの中国食文化普及」も実施する予定だが、今回の上海では、「焼き、揚げ、煮付け」の和風料理はもとより、鮮魚の刺身料理を中心に日本の魚食文化を大いにPRした。

漁業用A重油価格の異常高騰、漁網・漁具など関連資材の高騰、アジ、サバの産卵場所である日中暫定措置水域での中国がガス田開発――などで、沿岸、沖合、遠洋、養殖ともに日本の漁業は危機に直面している。

漁業活性化のためにも、まずは国内の魚離れの食生活を改めると同時に、海外で日本の魚食文化を普及させる「攻めの漁業」へ転換することが何よりも肝要だろう。漁業者からは「輸入税プラス付加価値税25%にも及ぶ中国関税の是正と、非食用の魚の一部を缶詰製品にして国家備蓄し、緊急援助物資に活用して欲しい」などの要望を受けている。

また、全国漁協組連合会は4日、来春の水産基本計画の見直しや来夏の指定漁業許可の一斉更新に向けて、「水産基本政策の確率を求める全国漁民大会」を開く。自民党水産部会長代理である私としては、今回の上海視察を念頭に、来年度予算編成で漁業・漁村の再生など水産振興に一層の力を注ぐ考えである。


前夜祭での私の挨拶要旨次の通り
 上海でも最近は魚を食べる人が多く、日本料理店が増えているとのことだ。中国の家庭では刺身を食べる習慣は少ないと聞くが、魚は新鮮なうちに食べることが非常に健康によいことを知っていただきたい。

このような機会を多く開くことにより、鮮度の良い魚を食べる文化並びに流通改革を、是非、浸透させていただきたいと思う。日本は四方を海に囲まれて、豊かな四季と森林、水に恵まれた国土だ。それを活かして各地で様々な農林水産物が生産されている。

それに、日本人の心配りや工夫が加わり、見た目に美しくおいしい食べ物が各地域で作られている。本日も私の故郷の海の魚と日本海の境港の魚を提供して、日本独特の魚食文化を直接にご紹介できる機会に恵まれたことを大変うれしく思う。

食べ物に関して世界一の厳しい目を持つ中国の皆さまにも、日本の新鮮な魚料理は受け入れていただけるものと確信している。今後とも数多くの機会を得て、お互いの食文化を通じ中日友好の絆がなお一層深まることを願いつつ、皆様方のご健勝を祈念する。