北村の政治活動

 (平成13年7月1日) 農林共済年金統合で質疑  団塊の世代強調

 北村誠吾代議士は、6月13日の衆院厚生労働委員会で、トップバッターとして農林共済年金統合法案の質疑を展開した。前通常国会で成立した同法は、農協職員らが加入する農林共済年金を来年4月から、一般サラリーマンの厚生年金に統合するもの。既にNTT,JR,JT(たばこ)の旧公共企業体3共済は、民営・株式会社化したため、平成9年4月に統合されており、農林共済の厚生年金統合は第2弾。今後は2004年度の実現を目指す国家、地方公務員共済などを含めた公的年金制度全体の一元化が課題となる。

 財政悪化で統合希望

 政府は少子高齢化社会の到来などを踏まえ、昭和59年の閣議で公的年金の一元化を推進することを決定、その後設置した「公的年金制度一元化懇談会」などで時間を掛けて統合を検討してきた。この過程では、加入者の減少で財政が悪化している農林共済年金が、最も規模が大きい厚生年金に統合することを希望した。しかし、農林共済から厚生年金への移管金額を巡って調整は難航した。厚生年金側は、統合で財政が悪化し保険料が上がることを警戒、1兆9千6百億円の移管金を要求したが、農林共済側は1兆6千億円を主張、最終的には両者の主張を折半し、1兆7千6百億円で折り合った。こうしたこともあって、旧農林共済年金加入者は、2008年まで保険料が上乗せされることになった。
 
 公務員共済も質す

 北村代議士は、戦後生まれの団塊の世代を代表する立場で、「子供や孫の世代まで老後を支える公的年金を安定して信頼される制度として維持していくことは、我々世代の大きな課題」と相互扶助の精神を強調、農林共済年金統合の意義や手順などを質すとともに、今後の公務員共済、私学共済の統合についても質し、政府の基本的な考えを明らかにした。
 衆院厚生労働委員会(6月13日)での質疑応答は次の通り。

 北村 先週までは公的年金制度の3階部分の企業年金で議論したが、本日は農業共済年金統合法案なので、公的年金制度の2階部分の一元化で質問したい。
 公的年金制度は世代間の支え合いで運営され、これから少子高齢化が進む中で、将来の支え手である子供が減少し財政的な厳しさが増してくることは、各年金制度に共通する問題だ。子供や孫の世代まで、国民の老後を支える公的年金を安定し、信頼されるものとして制度設計をし、維持していくことは我々の世代に課せられた大きな問題だ。若い世代も含め、国民の理解を一層深めていく取り組みが今後一層重要となる。

 坂口力厚生労働相 高齢化の大変な進展は社会保障、とりわけ年金にとって大きな問題。高齢者が段々と増え、若年者が減少する人口構成になるので、どうしても支える側の人間を1人でも多く増やしていく努力が必要だと思う。年齢構成にゆだねるだけでなく、女性や中高生の雇用促進にも力を入れ、支え手を増やすことを真剣にやらなければならない。   
 年金制度の不参加者は必ずしも所得が少ない方ばかりではない。ご指摘どおり若い方に相互扶助の精神をしっかり身につけてもらい、自分のためだけでなく、家族のため、隣人のため社会全体のための制度であることを理解して頂き、年金制度に参加してもらいたいと思う。

 北村 わが国の被用者年金制度は、民間サラリーマン対象の厚生年金、国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校職員対象の私学共済、農・漁協や森林組合等職員対象の農林共済――。この5つの制度になっている。別々の制度により保険料負担の水準が異なっていることも年金制度に対する不信、不安が広がっている一因ではないか。別々の制度には歴史的な経緯もあろうが、雇用形態にかかわりなく加入する制度を共通のものにして、負担と給付の両面での公平が確保される仕組みが大切と思う。特定の産業分野に依存した小規模な制度だと産業構造の変化を初め、経済社会環境の変化の影響を受けやすい。年金財政も厳しく不安定なものとなりがちだ。現役世代の負担が過重にならないようにしながら、受給者への確実な年金給付を確保していくには、できる限り大きな財政の下で年金制度を運営していくのが是非必要だ。これは公的年金制度の一元化の基本的考え方だと聞いている。

 辻哲夫厚生労働省年金局長 公的年金制度一元化は、ご指摘の考え方に基づき昭和59年の閣議決定で『高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金の一元化を展望しつつ改革を推進する』と決められ、公的年金制度の1階部分として全国民を対象とする基礎年金を導入した。
 そして2階部分の厚生年金と共済年金は、厚生年金を標準として、給付面で大枠をそろえた。次は2階部分の被用者年金制度間の主として負担面での調整を図ることとし、平成8年の閣議決定で『被用者年金の再編成は、財政単位の拡大および共通部分の費用平準化を図ることを基本に統一的な枠組みを目指す』との基本方針が示された。
 これを受け、再編成の第1段階として、平成9年度に既に民営化し成熟化が進んだ日本鉄道共済組合、日本たばこ産業共済組合、日本電電共済組合を厚生年金と統合し、その後も一元化の検討を進めてきた。

 北村 残っている3共済の一元化の進め方だが、まず、国家公務員と地方公務員の共済組合はどうか。3月16日の閣議決定は、国家、地方ともに公務員という職域に適用される年金制度ということから、「両制度の財政単位の一元化を図る。次期財政再計算はこの財政単位の一元化を前提に実施する」――となった。次の財政再計算は平成16年になろうと思うが、今後どのような体制で検討するか。財政単位の一元化とは分かりにくい表現だ。

 林田彪財務大臣政務官 2つの公務員グループ共済の一元化は、国家公務員、地方公務員の組織、制度は独立したまま両制度間でお互いに調整してもらう。最終的には、同じ公務員グループなので、保険料率を一本化することになっている。

 板倉敏和総務省公務員部長 財政単位の一元化は、複数の年金制度の財政単位を一体のものとしてとらえ、これを計算の基礎として年金財政を運営していく考え。国の共済と地方共済の財政単位一元化のあり方は組織、制度は独立したまま両制度間で財政調整を行いながら、最終的に、財源率と申しているが、保険料率を一本にする考えだ。財政調整措置の仕組みは、両制度間の検討をする場を設け、十分に検討したい。

 北村 一元化は適切な時期に情報を公開しながら、積極的な検討を進めてほしい。
今回の農林共済の厚生年金への統合を見ても、特定の産業分野に依存した年金制度には財政的な不安定性がどうしても避けられない。私立の学校についても学校の経営努力にもかかわらず、子供の数が急減する中で経営は非常に厳しい。地方分権といわれ、地方財政にとっても厳しさが一層増し、また、地方も私立学校に色々な形で助成している実情もある。

 こうした中で私立学校教職員の年金制度が将来にわたって単独で持続していくことは困難が少なくない。民間で私学共済は唯一の独立制度で残ることになる。さらに、両公務員共済における財政単位の一元化が実現すれば、3,248万人の厚生年金、440万人の国、地方の両公務員共済の中で、私学共済はわずか40万人の独立の共済制度として存在する形になる。何よりも、教職員の年金受給を将来にわたって確実にしていくことが、皆さんの安心につながり、私学経営の改善にも資するのではないか。特に、私学共済の発足以来、私学関係者と当局の並々ならぬ苦労があって今日にきていることを聞くにつけ、一層、関係者の力強い取り組みを期待する。私立学校教職員共済の位置付けについて、閣議決定は『次期財政再計算までに検討を行い、その結果を踏まえて必要な措置を講ずべき』とされているが、これを踏まえ、文部科学省はどのような検討をするのか。

 石川明文部科学省私学部長 閣議決定は、保険料引き上げの前倒し、あるいは被用者年金制度における位置付け等の検討を行うとされている。ご指摘通り、私学共済の目的や機能は、私立学校に優秀な教職員を確保し、安んじて職務を果たすことができるように国公立学校教職員の福利厚生に準じた制度を設けることだ。検討に当たり、福利厚生との均衡を保つことを年頭に、国家公務員、地方公務員両共済組合の検討なども踏まえつつ、公的年金制度の一元化推進という大きな流れの中で私学共済の適当な位置付け、必要措置を関係者との協議で検討していきたい。

 北村 3月の閣議決定では、厚生年金保険等との財政単位の一元化も含め、さらなる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るための方策について、被用者年金制度が成熟化していく21世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐとしている。各省見解を聞きたい。

 板倉公務員部長 公務員グループとして財政単位の一元化を早急に実現するが、さらに、その先の被用者年金制度である2階部分の統一的枠組みの形成についても、3月の閣議決定に沿い適切に対応していきたい。

 北村 21世紀初頭の間という閣議決定の物の考え方。これは、私がちょうど団塊の世代の始まりだから、私らが65歳になるとき、すなわち2015年から5年間ぐらい、または15年から20年、ここに1つの大きな転換点が来る。それが21世紀初頭という閣議決定の認識ではないかと考えている。この趣旨に沿って各省は検討を急いでもらいたい。次に今回の農林共済年金統合法案の提出経緯、基本的な考え方を聞きたい。

 辻年金局長 関係者から早期統合の要望が寄せられ、各被用者年金制度において財政再計算が行われて環境が整っていた。昨年6月に再開された学識経験者、厚生年金、各共済の関係者からなる公的年金制度の一元化懇談会で議論して頂き、本年2月に報告書を得た。これを踏まえ農林共済もその一環として平成14年4月に厚生年金へ統合することにした。

 北村 統合で公的年金制度として、農林共済の加入者、受給者にとってどんなメリットがあるか。

 桝屋敬悟厚生労働省副大臣 農林共済年金、農林漁業団体という極めて限られた団体で、被保険者数が50万人弱という特定の職域のみで運営されてきたが、今回の統合で被保険者数約3、300万人に上る厚生年金制度全体で財政運営されることになる。財政単位が大きくなることは産業構造の変化による影響を受けることなく、公的年金全体として、財政運営はより安定したものになるし、何よりも信頼性の高いものになる。農林共済加入者にとっても、将来にわたり確実な年金の受給が確保される。統合に伴い、一定期間の上乗せの保険料徴収だとか、職域部分に係るスライド停止といった措置もあるけれども、これは将来にわたる確実な年金の受給確保の措置であると考えている。

 北村 農林共済組合は厚生年金との統合後も存続するが、その残った組合年金はどんな業務を行うか。統合後に残るとしても人員体制の見直す必要があるのではないか。できるだけスリム化してコストを削減するのが今日的な社会の求めだ。

 須賀田菊仁農林水産省経営局長 農林年金支給枠のうち、厚生年金相当部分、いわゆる2階部分が今後、社会保険庁から支給される。厚生年金にない職域年金部分、いわゆる3階部分は今回廃止されるわけだが、これまでの年金債務は今後実行していく必要があり、この職域年金部分を経過的に現在の農林年金を存続組合として年金給付業務を行っていく。厚生年金も一定期間、社会保険庁から年金給付に関する一部事務受託を行う。受託業務はそのうち終了するし、年金給付業務も業務量が減っていくので、ご指摘のように人員は必要最小限度の体制にする。来年度から要員調整を開始し、60人程度を目標に調整する。

 北村 少子高齢化の進展、経済社会環境の大きな変化が見込まれる中で、公的年金制度の一元化は一層推進することが必要だ。今、農林水産委員会では森林を保全し、林業が活性化できるよう森林・林業基本法を制定すべく審議しているが、森林活性化の山の担い手、森林組合の職員も共済等の加入者だ。森林組合の作業班で働く方々は、平成11年統計によると全国で約3万人。このうち36%が農林年金の共済に入っているが、残りの方は入っていない。これは、就労日数が短いとか、高齢であるとか、理由は色々ある。ただし、広島県の例だと、若い人は90数%、49歳以下は大体93%の加入率だ。50歳から64歳で81%、65歳以上で51%と加入率は下がる。全国も似たような傾向だが、森林作業班の担い手を確保するためにも、就労環境を整えることが非常な効果を現している。

 山で働きたい人は、Iターン、Jターン、Qターンをひっくるめて、若い人たちに非常に多いが、一旦入ってみると、就労環境、仕事の状況は思い通りにいかない難しい状況にある。そこに、この年金の仕組みと役割が大いに期待されていることが、農水委の参考人招致でも確認された。統合される農林年金には期待が大きい。大臣の決意を聞きたい。

 坂口厚生労働相 新スタートをする限り、法律が円滑に運用され、農業従事の皆さんがこの制度の中で、今まで以上に年金は安心だと思って頂けるようにしなければならない。厚生年金部分との合併にしても、関係者の皆さんが大変ご苦労された。その経過を見てもスムーズに進まなければならない。今まで農業年金に入っていた方が、今後も引き続き今まで以上に安心して頂ける体制にはどうすればよいか。ご苦労された皆さんの気持ちを大事にしてこれを育てていきたい。