第129回(8月1日)07年シーリング決定 安定成長と財政再建
政府与党は7月19日、07年度予算要求の枠組みとなる概算要求基準(シーリング)の一般歳出上限を46.8兆円とすることで合意した。これが小泉政権最後のシーリングとなるが、同月7日に閣議決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に沿って、厳しい歳出削減方針が打ち出されている。その実現はポスト小泉政権による予算編成に託されるが、来夏の参院選を睨み、消費税率のアップをどうするかなど税制改正問題が絡んで秋の予算編成は政府VS党の主戦場となり、新政権は早くも正念場に立たされる。骨太の方針では最大14.3兆円の歳出削減策を打ち出したが、この目標達成に向けた最初の関門が来年度予算編成だ。シーリングでは、社会補償費の2200億円抑制、公共事業費の3%減、防衛費と私学助成費の1%減など例年同様に厳しく絞り込まれた。しかし、在日米軍再編費やミサイル迎撃関係費など安全保障上不可欠な費用が求められている時に防衛費1%減でよいのか。私は7月末から8月上旬にかけ、アフリカを訪問し、英気を養ってくるが、帰国後は防衛予算などの編成に集中したいと考えている。

5年後に基礎的財政収支黒字化
骨太の方針の2本柱は、「新経済成長戦略」と「歳出・歳入一体改革」で、経済の安定成長を目指すと同時に財政再建のメドをつける、というシナリオ。財政再建の当面の目標は、5年後(11年度)に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化することだ。年率3%の名目成長を前提にすれば、黒字化に必要な財源は16.5兆円だが、うち11.4〜14.3兆円は今後5年間の歳出削減で工面。残る2.2〜5.1兆円は増税で確保する考えである。歳出削減の内訳は、社会保障1.6兆円、人件費2.6兆円、公共投資3.9〜5.6兆円、その他3.3〜4.5兆円。歳入改革の税制改正は07年度をメドに消費税を含む税体系の抜本的改革を実現、消費税を社会保障財源として明確化するよう検討する、としている。ただ、基礎的財政収支の黒字化だけでは、国と地方を合わせて770兆円の債務残高は膨らみ続け、財政難に歯止めがかからないため、次の目標に「10年代半ばまでに国・地方それぞれの債務残高の対GDP比を引き下げる」としている。

社会保障費2200億円圧縮
シーリングは骨太の方針の枠を超えてはいないが、今年度予算に比べ4000億円増えて総額は46.8兆円となった。社会保障費は、今年度一般会計でも歳出総額の約4分の1を占めているが、7700億円と見込まれる自然増を2200億円抑制して、5500億円の増を認め、概算要求基準額は20.4兆円となった。圧縮幅は5年連続で同額だ。公共投資関係費は、骨太の方針で示された「前年度比1〜3%削減」の上限を取って、前年度比3%減とし、7兆2000億円となった。これも5年連続同じ削減率だ。その他の経費では、ODA(政府開発援助)が同じく3%減、防衛費と国立大学運営費交付金・私学助成が1%減で7.3兆円。義務的経費は、ほぼ横這いで7.5兆円。人件費は、給与改革や定員純減などを反映して微増に止め4.6兆円となっている。財務省は「景気回復傾向の中で、今年度予算のシーリング(47.5兆円)を下回ったことの意義は大きい」と歳出削減の成果を強調している。

防衛費の別枠獲得に努力
しかし、防衛費1つ取っても予算編成では重大問題になる。5月に決定した米海兵隊のグアム移転など、在日米軍再編の全体経費は260億ドル(2兆8600億円)といわれる。北朝鮮のミサイル7連射で前倒しを決めた、ミサイル防衛(MD)システムの地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)配備にも膨大な経費が必要になる。在日米軍再編経費は「予算編成の過程で別途検討」とされているが、防衛費1%削減の前提があるだけに、別枠予算を計上するのは容易なことではない。私はアフリカ視察で見聞を広めた後、8月中旬から年末にかけ、防衛予算の獲得に全力を挙げて取り組もうと考えている。
参考までにアフリカ視察の主な日程と訪問国の現況を簡単にお知らせしたい。
<参考資料は共同通信の「世界年鑑」2006年版から抜粋>
*7月27日23:00 名古屋中部空港発エミレーツ航空(EK)=ノンストップ=
*7月28日05:00 ドバイ空港着 <ドバイはアラブ首長国連邦を構成する7首長国の1つで、連邦第2の都市。アラビア半島の南東部、ペルシャ湾の出口に位置する。国土の大部分は砂漠で高温多湿だが、石油資源の豊富な首都のアブダビが連邦予算の約90%を拠出。残りをドバイが負担している。中東・アフリカの販売拠点として進出する日本企業が相次ぎ、04年10月時点で139社、在留邦人1615人。04年の対日輸出は石油など183億2301万ドル。豊かな国でイスラム教の戒律適用が外国人には寛容。観光・保養地としても有名で、人工雪のスキー場もある>
*7月28日10:20 ドバイ発(EK)同15:00 マヘ空港着 <西インド洋の115の島で構成するセーシェル共和国の最大の島がマヘ。温暖な海洋性気候。フランス植民地、英国領を経て1976年に独立。77年のクーデターでルネ大統領の社会主義政権が誕生したが、独立以来非同盟の立場を堅持。日本は03年度までに累計で無償資金協力として沿岸漁業振興計画などに29億5500万円、技術協力に11億3400万円を援助。1人当たりの国民総所得はアフリカで最も高い水準。04年の対日輸出はマグロ缶詰、冷凍魚など3460万6000ドル>
*7月30日14:20 マヘ発ケニア航空(KQ)同16:40 ナイロビ空港着 <ケニア共和国の首都。ケニアはサバンナ高原地帯の南部、砂漠地帯の北部、高温多湿のインド洋沿岸部に大別されるが、ナイロビは標高1600メートルで赤道直下に近いながらも、平均気温は11〜27度で年中清涼。ポルトガル、英保護領を経て1963年に独立。タンザニア、ウガンダと東アフリカ共同体(EAC)を構成する。日本は03年度までに有償資金協力1842億円、無償資金協力811億円を援助。04年の対日輸出はコーヒーなど3623万ドル、輸入は2億5767万ドル。1人当たりの国民総所得は460ドル。長崎大学熱帯医学研究所は05年1月、熱帯病の新薬開発などを目指し、ケニアなど東アフリカ3国に研究拠点を新設すると発表した>
*7月30日18:10 ナイロビ発(KQ)同19:25 エンテベ空港着 <ウガンダ共和国の首都カンバラの国際空港。カンバラは白ナイル源流で風光明媚なビクトリア湖に面しているが、ウガンダは湖沼が多く平均海抜1200メートルの高原。北部の乾燥地帯を除き緑に恵まれている。昔はブガンダ王国など4王国で構成されていたが、英保護領を経て1962年に独立。71年に、かの有名なアミン参謀総長のクーデターで王国は崩壊。アミン大統領の独裁下で反体制派など30万人が虐殺されたという。79年に民族解放戦線によってアミンが失脚。日本は06年3月、ウガンダなど7カ国に国連を通じて総額3850万ドルの緊急無償資金協力を行うことにした>
*8月3日05:10 エンテベ発(KQ)同06:25 ナイロビ着 同11:20 ナイロビ発(KQ)同11:45 キガリ空港着 <内陸熱帯気候の高原国・ルワンダ共和国の首都。15世紀、牧畜民のツチ族が多数派の農耕民フツ族を支配下に置いて王国を樹立したが、ドイツ領、ベルギー委任統治領を経て1962年に独立。73年にフツ族の国防相による無血クーデター以来、両族の対立抗争は続き、ウガンダ同様ここでも政府軍やフツ強硬派民兵組織などによるツチ族とフツ穏健派に対する大虐殺が発生、80万人が死亡したとされる。日本は難民救援のためザイール(現コンゴ)に救援隊約400人を派遣、中止していた経済支援も約6年ぶりに再開した。1人当たり国民総所得は220ドル>
*8月5日14:00 キガリ発(KQ)同16:20 ナイロビ空港着
*8月6日00:45 ナイロビ発(EK)同06:45 ドバイ空港着
*8月7日02:45 ドバイ発(EK)同17:40 名古屋中部空港着