北村の政治活動

 (平成13年6月1日) 確定給付企業年金法案質疑  総合的改革を

 少子高齢化や経済不況、雇用不安が続く中で、21世紀の年金生活はどうなるかーー。.政府は国民の年金不安を解消するため、今国会に、確定給付企業年金法案と確定拠出年金法案(日本版401k)を提出した。確定給付企業年金法案は5月25日、衆院本会議で可決され、参院に送られた。同法案は、財政悪化に苦しむ既存の企業年金を再編するもので、新たに「基金型企業年金」と「規約型企業年金」を新設、統一的な確定給付型の企業年金制度を創設するもの。これで大企業などの厚生年金基金は、財政を圧迫している厚生年金資産の代行運用部分を国に返上し、基金型企業年金に移行できるようになる。

 各分野の包括的改革を

 北村誠吾衆院議員は同月23日午後の衆院厚生労働委員会で、トップバッターの質問に立ち、@確定給付企業年金、確定拠出年金の両法案は本来、一括して早期に審議すべきだA少子高齢化、雇用の流動化が進む中では、医療・介護・雇用・年金分野を総合的、包括的に改革し、統合のメリットを発揮すべきだB公的年金と私的年金である企業年金は基本的に役割が異なるが、両者の混同で不安感が広がっているC加入者の受給権を保護すべきだーーなどと、確定給付企業年金法案の問題点を指摘したうえ、法案の基本理念、企業年金の税制、中小企業への年金拡大策などを細かく質した。

 年末にPチーム大綱

 これに対し坂口力厚生労働相は「社会保障の今後の在り方は、プロジェクトチームを作り年末までにその大綱を示したい。医療改革法案も優先させて、来年の通常国会に提出する」と答えた。      北村委員の質疑内容は次の通り。

 労働力の流動化を

 北村 先日来、職業能力開発局を中心に、坂口厚生労働大臣のもと、IT化能力開発支援センターが全国に展開されている。長崎県はパソコン保有率が全国43位など非常に悲しい数字だったが、センターが全国各地で受講の希望者を募集したところ、是非この制度で訓練を受けたいという人が県内で大変増えた。予算・計画数の2倍が応募し1時の混乱はあったが、当局の適切な対応で受講が叶うようになった。.国民、県民の期待が大きいので、今年度および来年度も引き続き、労働力の流動化、ミスマッチ解消のため、大臣を中心に厚生労働省の奮闘を願いたい。

 法案については確定給付企業年金と確定拠出年金の両法案は、相互に密接な関連があることから、本来、一括して早期に審議すべきだと考える。確定拠出年金法案は21世紀に対応した企業年金の構築に不可欠な制度。早期に審議入りし今国会で必ず成立させるべきだ。

 21世紀を迎えたわが国は、他国に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでいる.。65歳以上の人口割合は17%だが、21世紀半ばにはその割合が30%を超える見込みだ。近年、離職、転職が増え、雇用の流動化が進み社会経済情勢も大きく変化している。1月に厚生、労働両省が統合されたが、医療、介護、雇用、年金の分野は相互に関連しており、少子化、高齢化に対応するにはこれらを総合的、包括的に改革し、統合のメリットを発揮すべきだ。3月末に社会保障改革大綱がまとめられたが、政府は具体的にどう改革を進めていくのか。

 坂口力厚生労働相 改革の理念、基本的な考え方は大綱で明らかだが、年金、医療、介護を初め社会保障の今後のあり方、具体的な問題はプロジェクトチームを作って練り上げる。
年末までにその大綱が示されようが、医療は来年の通常国会に医療改革法案を出さねばならず、最も急がれている。秋には大体の方向性が決定され、具体化しないと間に合わない。医療改革を優先させながら、年金、介護の問題もそれに合わせ具体化されていくと思う。

 3階部分の制度改革

 北村 年金制度は様々な制度が並立し、大変複雑で国民にはわかりにくい。.公的年金は国の責任で適切に運営している限りつぶれないのに対し、企業年金はあくまで企業の責任で行う私的年金で、基本的に役割が異なる。この両者が混同され、年金制度全体に漠然とした不安感が広がっているのは真に残念だ。不安感を払拭するには、いわゆる3階部分の企業年金について制度改革を行うことが必要だ。午前の参考人質疑でも質問が出たが、公的年金と私的年金の異なる役割を、整理の意味も兼ねて、改めて政府に質しておきたい。
 もう1つは、法案で現行の企業年金が具体的にどう良くなるのか、基本理念は何か、地元に帰って平たく説明できるよう示してほしい。

 現役世代の手取り6割

 桝屋敬悟副大臣 国民、厚生などの公的年金は国民の老後を支えるため社会全体で世代間扶養を行う仕組み。.高齢者生活の基本部分を終身にわたり、確実に支えることを役割としている。老後生活の基礎的費用を賄う基礎年金を全国民共通の給付として保障。.被用者に対しては、退職後に賃金収入がなくなることに配慮し報酬比例の年金を保障するもので、被用者の場合、両者合わせて現役世代の手取り年収の概ね6割を確保するのが目標だ。
一方、企業年金などの私的年金は、個人や企業の自己努力に基づき掛け金を積み立てて運用し、そこから給付を行うことで、公的年金とあいまって多様化する老後のニーズに応え、より豊かな老後生活を実現するものだ.。少子高齢化が一層進んでいく中で、私的年金の充実がますます求められている。

 確定給付型の企業年金としては、厚生年金基金と税制適格年金の二つあるが、近年の経済環境のもとで企業倒産の際に年金資産が十分に確保されていない事例も出ており、受給権保護の制度整備が必要となっている。従って、この法案では、積立義務の設定、受託者責任の明確化、情報開示などの措置を統一的に定め、年金受給権の保護がきちんとなされるものだ。

 それから、厚生年金基金の代行返上を可能とすることで、企業年金相互間の移行を可能とし、企業合併などにも企業年金は柔軟に対応できる体制を目指している。このように、受給権保護の確保により、公的年金とあいまって、国民の老後の所得確保で一層の充実が図られ、経済の構造改革にも資すると考えている。

 全体の年金税制見直し

 北村 企業年金の税制は掛け金が全額損金の扱いで、非課税である。一方、運用時には特別法人税が課せられ、積立金の1%を毎年納税する。また、給付時には公的年金等控除があり、実質的には非課税に近い扱いだ。しかし、参考人の意見にもあったように、企業年金の積立金に課せられる特別法人税の負担はかなり重いのではないか。特別法人税は今般の企業年金の運用低迷に配慮して、平成14年までの暫定措置として課税が凍結されている。
それから先は今後検討するというが、何時までも2年ごとに暫定措置を繰り返していくわけにもいくまい.。やはり、特別法人税を初め、拠出時、運用時、給付時を通じて、全体の年金税制を見直すことは避けられないと思う。年金税制をどう見直していくか。

 辻哲夫年金局長 特別法人税は、法人税制上、新たな確定給付企業年金に対し、本則としては課税されるが、ご指摘どおり大変低金利の状況で、今凍結されているところである。今後の見通しは、平成15年以降の特別法人税を含め、年金税制全般のあり方につき、様々な議論が行われており、今後政府税調等各方面で、運用だけでなく、拠出、運用、給付、各段階を通じた負担の適正化へ向けた、総合的な検討が行われると承知している。

 中小企業の年金拡大

 北村 適格退職年金は、受給権保護の仕組みが不十分なので、10年間を期限に廃止される。このため、適格退職年金の実施企業は、10年の間に受給権保護の制度が整備された新しい企業年金などへ移行し、今後は積立基準に従って積立を行う必要がある。しかし、積み立て不足の企業年金が数多くある今日、余裕のある企業は別として、厳しい経営を強いられている中小企業等では、積み立て不足を埋める資金的余裕がない企業も多いのではないか。

 適格退職年金はこれまで中小企業を中心に広く普及、定着している。適格退職年金から新企業年金への移行を円滑に行う措置が不可欠だ。中小企業にどう対処するのか。企業年金制度が確立して40年近くが経過している.。民間サラリーマン3200万人の約2分の1しか企業年金でカバーされていない。そのカバーされていない企業の多くが中小零細企業ではないか。中小零細企業への企業年金の拡大を今後どう図っていくか。

 辻局長 10年間の経過措置で移行を図るが、中小企業に配慮すべき一番大きな問題は、積み立て不足の解消問題だ。10年の経過措置を踏まえ、今、厚生年金基金では最長30年間、ゆっくりと、しかし、確実に積み立て不足を解消してもらう猶予を置き、着実に対応したい。特に中小企業に対しては、積み立ての意味では財政再計算という新たな仕事も加わるので、簡易な財政再計算等の方法を示し、あるいは給付設計に関し、適切な、堅い、新たな受給資格期間を付加することなど、一定の要件のもとに軽減する。こうしたことで、なるべく中小企業により新たな企業年金が及ぶよう配慮している。

 多くの中小企業は、確定給付の企業年金そのものに入っていないとのご指摘だが、企業年金の多様な選択肢として確定拠出年金を導入する法案を提出した。確定拠出は転職の際の年金試算移し替え、すなわちポータビリティが十分確保され、労働移動に対応しやすい特徴があり、中小企業などの期待に沿い、普及しやすいものと考えるので努力したい。

 受給権を守れ

 北村 午前中の参考人4氏のご意見で感じたことは、働く人々が会社とともに自由な設計で自主的に、自己責任で掛けてきて、それが、いかなる事情であれ、最後に受給権が守られないなら悲しいことだと思う。経営者側も、働く人も、それぞれが一定の政府の決めた仕組みに基づいて誠実に積み立てをして、その努力を重ねた場合には、きちっと受給権が守られることで進めて頂くよう、お願いして質問を終える。

 衆院付帯決議

 同法案には衆院厚生労働委で、@加入者、受給者の受給権保護の観点から、セーフティネット機能を持つ「支払保証制度」を引き続き検討するA受給者への情報開示について、事業主等に対し実情を踏まえた適切な指導を行うB事業主や資産管理運用機関は、年金の管理・運用の内容を十分理解し、受託者責任を踏まえて行動するC適格退職年金から確定給付企業年金等への移行が円滑に行われるよう適切な経過措置を講じ、中小企業に特段の配慮を行うーーとの付帯決議がつけられた。