北村の政治活動

   第108回(9月16日)近く日米協議再開へ 極東と在日米軍再編 

 日米両国は、近く在日米軍の変革・再編問題を協議する構えだ。この問題は「年内に最終的な結論を出す」ことで合意されているが、今回の総選挙で9月中に予定していた中間報告と、月末に検討されていた日米首脳会議が先送りされていたため、急ぎ協議を再開する方針である。再編協議は昨秋に仕切り直しされた後、@共通戦略目標の確認A役割・任務の分担B基地や部隊の再編・再配置――の3段階に分けて議論を積み上げつつある。今年2月の2プラス2では、北朝鮮や中台問題への対応を盛り込んだ「共通戦略目標」を発表した。現在は第2、第3段階の米軍と自衛隊との「役割・任務」と、個別基地や部隊の再編・再配置も同時並行して協議を進めている。
私は厳しい選挙戦から復帰したばかりだが、防衛庁長官政務官として総選挙で生じた政治空白を一刻も早く解消し、日米協議、来年度予算編成に全力で貢献したいと考えている。

 中国、北朝鮮の脅威

 8月初旬に発表した今年の防衛白書で防衛庁は、核兵器計画を進める北朝鮮や核・ミサイル戦力、海空軍力の近代化を推進する中国の脅威を強調した。北朝鮮の核兵器計画は瀬戸際外交との見方がある一方、最終的には核兵器の保有を目指しており、金正日国防委員長中心の統治が一定の軌道に乗っていると分析した。また、中国は「軍事変革」を積極的に推進、海軍は近海の防衛空間を拡大し、総合的作戦能力を増強。空軍は国防防衛型から攻撃・防衛一体の空軍への転換を目指しており、軍近代化の目標が中国防衛に必要な範囲を超えるものではないのか、慎重に判断されるべきであると指摘した。そこで、白書は昨年12月の防衛計画大綱改定を踏まえ、国土防衛と並び、「国際安全保障環境」のために自衛隊を活用する方針を鮮明にし、テロや弾道ミサイルなど北東アジアの「新たな脅威」に対しては、米国との2人3脚で防衛に当たる必要性を強調している。

 総選挙中に中ロ合同演習

 米海軍は昨年9月から10月にかけて、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、北海道・奥尻島沖の日本海に「ミサイル防衛作戦区域」を設定し監視するなど、横須賀基地のイージス駆逐艦「カーチス・ウイルバー」など3隻を同海域へ繰り返し航行させた。その後も断続的に監視活動を続けている。これに対し、中ソ両国も緊密な軍事提携を深めている。総選挙中にも中国とロシアは、山東半島―黄海―ウラジオストクを結ぶ日本近海で1万人規模の上陸作戦計画など陸海空部隊の合同演習を展開した。中国は経済の躍進を背景に、ロシアから最新鋭の武器輸入を再開、台湾開放を想定した上陸演習を行うなど、10年前まで激しい国境紛争を続けた両国とは思えないほど、中ロ両国は軍事協力を強めている。これらの動きを踏まえ、防衛白書ではアジア情勢について「中台の軍事バランスに大きな変化を生じさせる可能性がある」と指摘した。

 負担軽減が最大課題

 日米協議はいずれ2プラス2に発展。大野功統防衛庁長官、町村信孝外相、ラムズフェルド国防長官、ライサ国務長官の日米4閣僚が協議に入るが、米側主張の在日米軍再編・再配置と日本側が主張する負担軽減をどう実現するかが最大の課題。ブッシュ米大統領は1年前の8月、「今後10年間に6〜7万人の部隊を帰国させる」と米軍の再編を明らかにした。朝日新聞によると、選挙期間中に来日したローレス米国防省副次官とヒル上級日本部長は、自民党の山崎拓前首相補佐官、久間章生総務会長、安倍晋三幹事長代理らと会い、米国が世界規模で進めている米軍のトランスフォーメーション(変革)に併せて、日本との間に「同盟の変革」を実現したいと要請、防衛庁側との事務レベル折衝も行った。ローレス副次官は「米軍の再編では日本も成果を上げてもらいたい」、「日本の自衛隊と一緒に機能して抑止効果があるようにしたい。縮小しても機能が維持されるよう取り組んでいきたい」などと話したという。

 自衛隊投資は過小と米批判

 同盟の変革は「テロとの戦い」と「中国・北朝鮮の抑止」という、アジア太平洋地域で米軍が直面する2つの戦略的な重要課題に、「より効果的に対応できるよう、自衛隊、さらには日米同盟を作り直そうとするもの」と朝日は解説している。しかし、前にもホームページで取り上げたように、6月にシンガポールで行われた日米防衛首脳会談で大野長官が「負担軽減」を強調したのに対し、ラムズフェルド国防長官は両国の防衛費の国内総生産(GDP)に対する比率を持ちだし、「日本の負担は決して大きくない」と反論している。米国には「自衛隊に対する日本の投資が過小で、米国との同盟に対する依存が課題だ」との批判や、沖縄県の米軍普天間飛行場の同県名護市辺野古沖への移設が捗らないことへの不満があり、同盟の機能強化を求める意向が強い。

 物心両面の負担軽減へ

 これに対し、日本側は米軍基地周辺の騒音公害防止などの物的負担や、婦女暴行など多発する米兵犯罪、米軍大型ヘリ墜落事故などに見られる日米地位協定上の米軍「特権」による様々な地元住民の心理的負担など、日米同盟に伴うコストの削減を優先的に考え、基地の地元自治体との調整作業を重視している。米軍基地周辺で暮らす住民にとっては、郵便局が1局なくなる以上に、米軍による危害、公害など物的、心理的負担の軽減の方がより重大だ。私は日米協議が実り多きものになるため側面から力を尽くしたいと考えている。