北村の政治活動

 第105回(7月1日)在日米軍再編年内決着へ 次世代MD予算化


 日米両国は、在日米軍の変革・再編を年内に決着させることとし、7月中にも外交・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)か、防衛首脳会談を開いて中間報告をまとめる方針である。これは大野功統防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官が6月4日、シンガポールでの会談で合意した。だが、この日の会談でラムズフェルド長官は、北朝鮮や中国など東アジア情勢を踏まえ「抑止力の問題も重要」と述べたのに対し、大野長官は「地元の理解と協力が必要」と答え、双方の主張はかみ合わなかった。従って、日米間には溝が横たわっており、米側が主張するような「個別基地の再配置」を中間報告に書き込むことは難しく、日本有事の際の「相互協力計画」などを協議し、共同文書で確認する方針だ。大野長官は、北朝鮮が核保有を宣言したなどから、北東アジア情勢を重視しており、相互協力ではミサイル防衛(MD)のため、次世代型迎撃ミサイルを06年度から米国と共同開発に入りたい考え。この考えは外遊先で同行記者団に明らかにしたが、大野長官は06年度予算の概算要求に数十億円の開発費を盛り込む意向だ。私も防衛庁長官政務官として、財務省相手に予算編成ではMD予算獲得に微力を尽くしたいと考えている。

 7月中に中間報告を確認

 シンガポールの日米防衛首脳会談は、6月3〜5日間に同地で開かれた第4回「アジア安全保障会議」(英国際戦略研究所主催=23カ国・地域から閣僚級17人が参加)に日米の両防衛長官が出席した際に行われた。この日米防衛首脳会談では、日本有事の際の「共同作戦計画」や周辺事態での「相互協力計画」の策定作業を本格化させることや、国際的な災害救助での協力などで米軍と自衛隊が密接な連携を図り、協力関係をさらに強化することが必要との認識で一致。こうした点を共同文書にまとめて中間報告にすることを確認した。2月の2プラス2では、「共通戦略目標」で合意し、事務レベルで「米軍と自衛隊の役割・任務と分担」を協議してきた。そこで、4日の会談でラムズフェルド長官は中間報告について、「役割・任務の分担」に加え、個別の基地の再配置も盛り込むよう迫ったが、大野長官は「地元の理解と協力」が前提であるとし、「沖縄を中心とした基地の負担軽減が必要」と強調するなど、早くも中間報告の作成には壁があることを浮き彫りにした。

 ラ国防長官「抑止力」強調

 ラムズフェルド長官は「抑止力の問題も重要だ。具体的な基地をどうこうという議論は、専門家に任せよう」と言いながらも「米政府はGDP(国内総生産)の3・2%を国防予算に充てている。日本は0・98%だ」と述べ、アジア地域の「抑止力」の裏には米国の「負担」があることを強調した。同長官は4日、「アジア安全保障会議」の演説で、「脅威を与える国はないのに、中国はなぜ国防費を増やし軍事拡張を続けるのか。疑問に思わざるを得ない」「台湾問題は平和的に解決すると各国が合意しているのに、中国はなぜ対岸に弾道ミサイル配備を増強しているのか」と厳しい口調で中国政府を批判した。米国には、中国の軍事増強や北朝鮮の核開発への懸念から、在日米軍基地の再編についても変化が見られる。米側は最初、沖縄の砲兵部隊(第12海兵連隊)を北海道へ移転させ、歩兵部隊(第4回兵連隊)を国外へ移す構想を提示するなど、日本の主張に沿って配慮していた。

 東アジアの安全環境変化

 ところが最近では、4日の国防長官演説で示したように、米側は東アジアの安全環境の変化を睨んで姿勢を硬化させ、基地再編に厳しい態度で臨んできている。このため、日本側は普天間飛行場を海外へ移転させる要求を控え、その基地機能を沖縄県内に分散移転させる案を模索し始めている。これらの点からみても7月中間報告の作成は難航しそうだ。首相以下官邸が郵政法案の処理で手一杯のこともあり、大野長官は10日の閣議後記者会見で、「中間報告とりまとめは9月になるかも知れない」と懸念を表明、延期を示唆した。
米国の姿勢変化は、中国、北朝鮮の最近の動向による。中国は最近、青島沖の渤海湾から内陸に向けて長距離弾道ミサイルの発射実験を行った。北朝鮮は03年1月に核不拡散条約(NPT)からの脱退を表明した後、今年2月に核兵器保有を宣言、4月に原子炉の稼働停止、5月には凍結していた寧辺の黒鉛減速炉を再稼働させ「使用済み核燃料棒8千本の再処理を完了した」と表明、6月にウラン濃縮用の遠心分離器2600台分に相当する高強度アルミ管350トンをロシア、ドイツの業者に発注していたことが発覚、さらには、日本海での短距離弾道ミサイル実験、米偵察衛星による核実験準備中の情報――など着々と核開発を進め、瀬戸際外交で米国、日本に揺さぶりをかけている。使用済み核燃料棒8千本を再処理すると、核兵器5個前後に相当するプルトニウムが抽出できるという。

 共同開発段階に移行の時期

 日本はミサイル防衛に「無敵の楯」を意味するイージス護衛艦を佐世保、呉に配備している。これは1度に12の目標へ発射できる射程100キロの対空ミサイルや同110キロの艦対艦ミサイル(ハープーンSSM)を装備、従来の護衛艦5隻分の能力を持ち、半径約500キロを守備範囲としている。しかし、日本全土を射程に入れ、100基も配備したという北朝鮮の弾道ミサイル・ノドンは、核装備も可能で発射後7〜10分後に着弾する。イージス艦だけでは心許ない。日米は99年から、次世代型MDである海上配備型迎撃ミサイルの共同技術研究を開始。日本は弾道を保護する「ノースコーン」や弾道ミサイルを追尾する「赤外線シーカー」などの4分野を担当、今年度までに約262億円を投入してきた。米国が開発し、日本も導入を決めている海上配備型の「SM(スタンダードミサイル)3」は防御範囲が数百キロだが、次世代型はその2倍以上の範囲をカバーし、攪乱を狙う「おとり弾」にも対応できるものを目指している。大野長官は「共同技術研究の段階は済んだ。共同開発段階に移行する時期だ」とシンガポールで記者団に語った。

 8月の訓練に自衛隊艦艇派遣

 大野長官は同15日の朝日新聞朝刊に、「アジア太平洋地域における緊張は、緩和とはほど遠い。<略>北朝鮮は大量破壊兵器(WMD)や弾道ミサイルの開発、配備、拡散にかかわっている。核兵器保有宣言といった挑発的態度は、地域と国際社会の主要な不安定要因だ」とし、最重要課題である6者協議への即時無条件の復帰を呼びかけるとともに、「ミサイル防衛は純粋に防御的で他国を攻撃するものではない。(WMDの拡散防止構想)PSIについて、8月にシンガポールで行われる訓練には自衛隊の艦艇や航空機の派遣を検討している」ことを明らかにした。大野長官が次世代型迎撃ミサイルの日米共同開発に意欲を示し、マスコミにミサイル防衛の意義をPRする背景には、06年度から共同開発に移行したいとの米側の意向が強く働いている。MDシステム構築には膨大な費用がかかるため、米国には早く日本に深く関与させて必要な費用を負担させたい思惑がある。

 システム導入でも1兆円

 共同開発が実現すれば、自衛隊の支援戦闘機「FSX」(F2)に次いで2例目となるが、米国が開発したシステムの導入だけでも1兆円超すと見られる。次世代ミサイルの開発に踏み込めば、さらに、5年間の開発費として500億円の拠出を米国から迫られる可能性もある。財布の紐を締める財務省相手にどうやって予算を引き出すかが大きな課題だが、私は郵政国会が緊迫する中にも、政務官として重要な国防力の増強に励む考えでいる。